住宅ローンの固定と変動はどっちがいい?固定をベースにした金利タイプの選び方

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住宅ローンを利用する際、決めなければいけない一つに金利タイプがあります。金利タイプは主に変動金利型、全期間固定金利型、固定金利期間選択型の3タイプあり、それぞれ特徴が異なります。

それぞれの金利タイプにはメリット・デメリットがありますが、一般的な特徴だけで決めてしまうと、思わぬ失敗を招くかもしれません。

どのような考えで金利タイプを選んでいけばよいのか、今回は、住宅ローンの固定と変動の選び方に重点を置いて解説していきます。

住宅ローンの金利タイプは固定金利型を選ぶのが基本

ここでの固定金利型は全期間固定金利型を指し、住宅ローンの金利タイプは固定金利型を選ぶのを基本とします。よく固定金利型はこれから教育費などの大きな支出を控えている人向けと言われますが、個々の状況に関わらず金利上昇による影響は誰でも受けます。

そもそも金利に関係なく、数千万円の借金をしている時点でリスクを抱えています。仕事が順調であればいいですが、借入時点で保証されているわけではありません。家計への影響を最小限に抑えるためにも固定金利型を選ぶのがベストです。

また固定金利型を選んではいけない金利水準として、金利が高止まりしてから下落傾向にあるときと言われます。このときには固定金利型ではなく変動金利型を選んだ方がいいですが、下落傾向がいつまでも続くことが予測できるかどうかが問題です。結果的に固定金利型を選んでしまい、変動金利型の方が利息額は少なかったはずという状況になる可能性はあります。しかしこれは結果論で、固定金利型を選ぶことで金利上昇による利息額の増加を回避している大きなメリットを受けてきたことで良しと考えればいいのです。

ただ借入当初から借り換えを計画し、金利推移を見て借り換えをすることを前提としており、シミュレーションを自ら時間をかけて行うことが苦ではない人は変動金利型や10年固定も候補となり、利息額を減らせる可能性があります。この場合でも借入当初のシミュレーション結果だけを見て、借入金額を増やす目的で変動金利型を選ぶわけではありません。つまり借入当初に金利が上がらないことを前提としたシミュレーションで金利タイプを選んだり、借入金額を増やすためだけに変動金利型を選んだりしないことが重要です。

人は将来のリスクより目の前のリターンに注目しがちですので、金利が上昇するリスクより利息額が少ない今を自然と大きなメリットと考えているのかもしれません。

住宅ローンの見逃せない変動金利型の特徴

住宅ローンの金利タイプは全期間固定金利型が基本であることを説明しました。私の知っている範囲ですが、固定金利型を選ぶ人は金利タイプの選択に悩んでいない印象があります。金利推移が低い時期は特に迷いなく固定金利型を選んでいます。

ただ変動金利型や10年固定を選ぶ価値がないわけではありません。まずは変動金利型の見逃せない特徴について紹介しておきます。

 

借入当初から10年間金利が上昇しなければ変動金利が得

利息額は、「融資残高×金利」で決まりますので、融資残高が少なければ金利が上昇してもその影響は大きくありません。金利上昇による影響は具体的に確かめた方がいいので、いくつかシミュレーション結果を紹介いたします。

2019年4月時点の金利を参考に、全期間固定金利型の金利を1.70%、変動金利型の金利を0.50%としてシミュレーションしてみます。

[借入条件]借入金額3,000万円/返済期間30年(元利均等返済)

利息総額 毎月返済額
固定金利型 8,318,062円 106,440円
変動金利型 2,312,281円 89,757円

このシミュレーション結果で変動金利型を選んでしまう人は、毎月の返済額だけで判断していないでしょうか。毎月の返済額が10万円を超えると返済額としては高いという印象があるでしょうし、返済額の差が16,000円ほどあると、その分、ほかの支出に使えると考えるでしょう。

利息総額を見ると、600万円の違いがありますので、変動金利型を選び、できる限り負担を減らしたいと考えるのもわかります。ただ変動金利は金利が変動しないことを前提としたシミュレーション結果ですので、これで結論を出すには早すぎます。

ここでの本題は、変動金利が当初10年間で金利変動したらどのような影響があるかを見ることですので、次のシミュレーションを確認してみましょう。

 [金利の変化]5年後に+1.00%、10年後に+1.00%

利息総額 毎月返済額
固定金利型 8,318,062円 106,440円
変動金利型 8,132,933円 111,146円

※変動金利型の1.25倍ルール等は考慮しておりません。

借入当初より2.00%上昇したことになりますが、変動金利型の基準金利を2.75%としている金融機関は多いですので、けた外れに上昇した数値ではありません。5年目に1%、10年目に1%上昇すると、ほぼ固定金利型と変わらないことがわかります。

次に、当初10年間は金利変動せず、15年目と20年目に変動した場合でシミュレーションしてみましょう。

[金利の変化]15年後に+1.00%、20年後に+1.00%

利息総額 毎月返済額
固定金利型 8,318,062円 106,440円
変動金利型 4,122,353円 101,419円

変動金利型を見ると、金利上昇により返済額は10万円超えるのは当然として、利息総額は400万円程度にとどまっています。このように金利が上昇するにしても上昇するタイミングによって利息総額が異なることがポイントです。

変動金利型を選ぶ人は、当初10年間に2%以上の金利変動が起きないと考えていなければならないことになります。

住宅ローンの検討しておきたい10年固定の特徴

次に金利タイプ10年固定の特徴について解説します。10年固定は、先ほど説明した変動金利型の長所を生かした金利タイプと言えます。融資額が大半残っている借入当初の金利上昇を回避するために、当初の10年のみ固定金利を適用させることだけ確定し、10年目以降は金利の動向を見て、引き続き10年固定(又は全期間固定金利)にするか変動金利にするかを選択します。

「融資残高×金利」の関係を上手に利用した金利タイプの選択ですが、固定金利期間満了後に再び金利選択をしなければならず、そのときの金利水準により金利が決定するため、金利上昇のリスクを完全に回避できるわけではありません。

変動金利型と同様、10年固定もシミュレーションして、全期間固定金利型との違いを確認してみましょう。2019年4月時点の0.70%で試算しています。

利息総額 毎月返済額
固定金利型 8,318,062円 106,440円
10年固定 3,268,708円 92,414円

10年固定は変動金利型より金利が高いため、利息総額や毎月の返済額は変動金利型より高くなりますが、全期間固定金利型ほどではありません。ただ変動金利型と同様、金利が変動しなかった場合の結果ですので、判断材料にはなりません。10年後に金利が上昇した場合でシミュレーションしてみましょう。

[金利の変化]10年後に+2.00%

利息総額 毎月返済額
固定金利型 8,318,062円 106,440円
10年固定 7,890,199円 111,670円
変動金利型 8,132,933円 111,146円

10年後に再び10年固定を選択するとして、切り替え時に2%上昇していた場合、全期間固定金利型や変動金利型で5年後・10年後に金利上昇したときとあまり変わらない結果となりました。金利変動の変化によっては変動金利型と10年固定の違いが小さいことから、10年固定の金利が低く設定されているのかもしれません。ただ10年以内の金利上昇が大きいほど、変動金利型より10年固定の方が金利上昇リスクを回避することができます。

いずれにしても10年固定も10年後に金利が2%上昇していると全期間固定金利型とほぼ変わらないことから、2%上昇を想定するかどうかが判断材料になります。もちろん想定ですので、確実な判断材料ではありません。

住宅ローンの固定か変動を選ぶために知っておきたい基本的な特徴

住宅ローンの固定金利と変動金利のそれぞれの特徴についてはご存知かもしれませんが、ここでは一般的な金利タイプの特徴を解説していきます。

 

住宅ローンの全期間固定金利型の特徴

住宅ローンの全期間固定金利型は、借入期間中の金利変動がないため、総返済額が借入時点で決まっていることです。将来の金利上昇によるリスクを金融機関側に負ってもらうことになりますので、金利は変動金利より高くなります。

住宅ローンの固定金利期間選択型の特徴

住宅ローンの固定金利期間選択型は、固定金利の期間が限定されており、期間満了後に再び変動金利か固定金利を選択しなければなりません。また期間満了後の金利水準で金利が決定しますので、固定期間を選び続けても金利が上昇する可能性があります。

住宅ローンの変動金利型の特徴

住宅ローンの変動金利型は、金利上昇のリスクを借り手が負う金利タイプです。返済期間中も金利が変動しますので、金利が上昇した場合には返済額が増える可能性があります。

住宅ローンの固定と変動の選び方|固定金利型の推移

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金利推移

金利推移は過去のデータですので、判断材料になるかどうかは微妙です。将来の金利推移を表しているわけではありませんが、現在の金利が低金利なのか高金利なのか、金利上昇傾向なのか、下落傾向なのかある程度の現況を把握することはできます。

固定金利の基準

固定金利は、新発10年物国債利回りを基準に決定するのが一般的です。ネット銀行など比較的新しい金融機関では独自で判断してるケースもあります。金融機関ごとの金利推移については、一部の金融機関を除き、公開されていませんので、新発10年物国債利回りである程度の金利推移を把握することができるでしょう。株式取引のように売買益を追及しているわけではありませんので、大まかな把握だけにとどめておきます(気になる人はより深く調べても構いませんが)。

新発10年物国債利回り

「新発」は新しく発行されたという意味で、10年後に元本額で償還される国債(国の借金、借用証書)です。


住宅ローンの固定と変動の選び方|変動金利型の推移

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変動金利の金利推移

金利推移は過去のデータですので、判断材料になるかどうかは微妙です。将来の金利推移を表しているわけではありませんが、現在の金利が低金利なのか高金利なのか、金利上昇傾向なのか、下落傾向なのかある程度の現況を把握することはできます。

変動金利の基準

変動金利は、一般的に短期プライムレートを基準に決定します。短期プライムレートは日本銀行やみずほ銀行などで公開されていますので、いつでも確認できます。なお、都市銀行などでは、変動金利型の基準金利を、「短期プライムレート+1.00%」で設定していますが、ネット銀行などは独自の基準で金利を設定していますので、基準金利はまちまちです。

短期プライムレート

※出典:日本銀行「長・短期プライムレート(主要行)の推移
※クリックすると拡大します。

変動金利型を選ばない理由

変動金利を選ばない理由として、「返済額が上がるのが心配」「固定金利型は計画が立てやすい」が挙げられますが、これだけで変動金利型のメリットを放棄してしまっていいのか、全期間固定金利型の利息負担を受け入れてもいいのか、という問題があります。

確かに変動金利型は金利の変動により返済額が上がる可能性がありますが、0.1%でも、1%でも上昇は上昇です。つまり、どの程度まで上がると家計にとってリスクがあるのか、どの程度まで上がると支払えなくなるのかシミュレーションしないうちに全期間固定金利型を選択してもいいのか、という点です。

返済額は、「借入金額(借入残高)×利率」で決まります。順調に返済していれば借入金額(借入残高)は減少しますので、多少、金利が上がっても、返済額に影響しないかもしれません。

決して、変動金利型を勧めているわけではありません。ただ単純に全期間固定金利型を選択すると知らないうちに負担になっている可能性がありますので、固定金利の方が安心だと勧められても、シミュレーションをして確認してから判断しても遅くはないでしょう。


まとめ

住宅ローンの金利タイプ、変動金利型か、全期間固定金利型か、固定金利期間選択型か、それぞれの特徴やメリット・デメリットだけを考えると選びにくいかもしれません。しかし、この記事で紹介したように、全期間固定金利型をベースにして、変動金利型や10年固定のメリットやデメリットを理解した上で、変動金利型や10年固定を選ぶのであれば、あとは金利が上昇したときにどのような対応をするか決めておくだけです。変動金利型や10年固定のデメリットを強く感じるのであれば、基本となる全期間固定金利型がふさわしいと言えます。

このことは、低金利が続いている現在で考えられる選択方法です。選び方は家計の状況によっても異なりますので、決めかねている人は公正中立なアドバイスができる専門家などに相談してみましょう。

住宅ローン借り換え先の賢い選び方を学び、利息額を軽減する方法

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住宅ローンの借り換えは、将来支払うであろう利息額を減らすことができます。金利水準によっては数百万円の利息額軽減が可能で、時間をかけて借り換えをする価値があります。

しかし借り換え先選びは、一度新規で住宅ローンの借入先選びをしているものの、手間がかかり、大変だと思います。借り換え先によってはあまり効果を得られないこともあり、試算と比較を繰り返し、最適の借り換え先を絞り込む必要があります。

そこで、この記事では住宅ローンの借り換え先の選び方を紹介していきます。

住宅ローンの借り換え先を選ぶ前に検討すべきこと

住宅ローンの借り換えは利息の負担を軽減できる効果的な方法ですが、借り換え先に住宅ローンの諸費用を支払わなければならないため、住宅ローンの借り換え先を選ぶ前に検討すべき方法について解説します。

<利息額を減らす方法とその効果・諸費用>
利息軽減効果 諸費用
住宅ローンの
一部繰り上げ返済
数万
~数十万円
無料
住宅ローンの
金利タイプの変更
条件次第 無料
住宅ローンの
借り換え
数十万
~数百万円
数十万円

 

住宅ローンの借り換え前に検討すべき「一部繰り上げ返済」

一部繰り上げ返済について知っている人は多いかもしれません。住宅ローンの借り換えを検討している人の中には、すでに一部繰り上げ返済をしている人もいらっしゃるでしょう。

一部繰り上げ返済は、利息額を減らす効果があります。住宅ローンの借り換えも利息額を減らす効果がありますが、一部繰り上げ返済では費用がかからない場合が多いため、借り換えよりも気軽に行うことができます。

一部繰り上げ返済はほとんどの金融機関で手数料が無料となっています。都市銀行など店舗型の金融機関の窓口では有料になることがありますが、ウェブ経由の一部繰り上げ返済で無料にしている場合がほとんどです。

住宅ローンの借り換えのハードルが高いと感じた場合は、「一部繰り上げ返済」という方法があることも覚えておいてください。定期的に一部繰り上げ返済をし、タイミングを見て住宅ローンの借り換えをする方法が良いでしょう。

 

住宅ローンの借り換え前に一部繰り上げ返済の効果を知ろう

住宅ローンの一部繰り上げ返済による効果をシミュレーションしてみました。一部繰り上げ返済のタイミングによってその効果は異なりますが、後半で解説する住宅ローンの借り換えのシミュレーションで効果の違いを比較してみてください。

<住宅ローンの一部繰り上げ返済の効果(金利1%)>

[前提条件]10年後返済/期間短縮型/元利均等返済/金利1.0%

当初借入金額 返済額
50万円
返済額
100万円
返済額
200万円
4,000万円 利息軽減額:
92,720円
短縮期間:
4ヶ月
利息軽減額:
206,640円
短縮期間:
9ヶ月
利息軽減額:
406,121円
短縮期間:
1年6ヶ月
3,000万円 利息軽減額:
103,913円
短縮期間:
6ヶ月
利息軽減額:
205,446円
短縮期間:
1年
利息軽減額:
417,211円
短縮期間:
2年1ヶ月
2,000万円 利息軽減額:
103,316円
短縮期間:
9ヶ月
利息軽減額:
203,052円
短縮期間:
1年6ヶ月
利息軽減額:
401,730円
短縮期間:
3年1ヶ月

次に、金利2%で借り入れている場合の一部繰り上げ返済の効果を見ておきましょう。金利以外の条件は同じです。

<住宅ローンの一部繰り上げ返済の効果(金利2%)>

[前提条件]10年後返済/期間短縮型/元利均等返済/金利2.0%

当初借入金額 返済額
50万円
返済額
100万円
返済額
200万円
4,000万円 利息軽減額:
241,888円
短縮期間:
5ヶ月
利息軽減額:
479,618円
短縮期間:
10ヶ月
利息軽減額:
896,941円
短縮期間:
1年7ヶ月
3,000万円 利息軽減額:
217,325円
短縮期間:
6ヶ月
利息軽減額:
465,181円
短縮期間:
1年1ヶ月
利息軽減額:
908,995円
短縮期間:
2年2ヶ月
2,000万円 利息軽減額:
239,804円
短縮期間:
10ヶ月
利息軽減額:
448,461円
短縮期間:
1年7ヶ月
利息軽減額:
887,304円
短縮期間:
3年3ヶ月

住宅ローンの借り換えの諸費用として100万円かかるとし、同額の100万円を一部繰り上げ返済にあてた場合は、金利2%で約45万円の利息額を減らすことができます。一部繰り上げ返済も現金が必要な点では住宅ローンの借り換えと同じですが、一部繰り上げ返済は元金へ充当され、住宅ローンの借り換えは金融機関の手数料として支払われます。

 

住宅ローンの借り換え前に検討すべき「金利タイプの変更」

金利タイプの変更は、変動金利型から固定金利型へ、固定金利型から変動金利型へと変更することで、同じ金融機関で手続きをします。変動金利型から固定金利型なら金利上昇リスクを回避すること、固定金利型から変動金利型なら金利による利息額の負担を減らすことを目的としています。

また、金利タイプの変更で利息額の負担を減らしたい場合、市場全体の金利が以前より低下していることが条件となります。金融機関との金利差を利用した方法ではないためです。市場の金利が低下していれば、変動金利型から固定金利型への金利タイプの変更でも金利差が小さくなる可能性があります。また固定金利型から変動金利型への金利タイプの変更ならより利息額の負担を減らせるかもしれません。

いよいよ住宅ローンの借り換えについて見ていきましょう。

住宅ローンの借り換えで得られる効果

住宅ローンの借り換えがどのくらいの効果があるのか知っておいた方がいいでしょう。先ほど解説した「一部繰り上げ返済」や「金利タイプの変更」と比較し、ご家庭にとって向いていると思われる方法を選択するためです。住宅ローンの借り換えで得られる効果にはいい効果と悪い効果がありますので、それぞれ確認しておきましょう。

 

住宅ローンの借り換えで期待したい効果

住宅ローンの借り換えをする目的でもありますが、借り換えで期待したい効果は利息額の軽減です。軽減された分は、返済期間を短くして退職前までに完済できるよう調整したり、毎月の返済額を減らして生活にゆとりをもたらしたりする効果があります。

住宅ローンの借り換えで負担額が減るのは、次の場合です。

 住宅ローン残高+利息額>住宅ローン残高+利息額+借り換えによる諸費用

住宅ローンの借り換えでは、新しく住宅ローンを借りることになりますので、諸費用がかかりますが、諸費用を支払っても利息額が減る場合に借り換えを行います。

 

住宅ローンの借り換えで気を付けておきたい影響

住宅ローンの借り換えでは諸費用が必要です。新規で借りたときに比べ、住宅ローンの借入額は減少していますので、当初ほど諸費用はかかりませんが、それでも数十万円はかかるでしょう。

諸費用は現金で支払うことが一般的ですので、貯蓄額が減少します。住宅ローン返済中のご家庭では、これから教育費がかかる人も多いと思いますので、住宅ローンの借り換えに貯蓄を使っても問題ないか将来の支出を考えておく必要があります。

<住宅ローンの借り換えによる諸費用の額>

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各金融機関の名称から住宅ローン借り換え情報が掲載されている公式サイトページをご覧いただくことができます。

都市銀行

 金融機関  項目
 みずほ銀行 みずほ銀行は保証料中心の金融機関である。保証料を一部前払いする方式と前払いしない方式がある。保険料を一部前払いする方式は、返済期間20年、借入金額1000万円の場合、元利均等返済で148,340円~519,280円必要となる。一方、保証料を前払いしない方式は金利に年率0.2%上乗せされる。また保証料に加え、事務手数料が32,400円かかる。なお、一部繰り上げ返済した場合、金額に応じた保証料が返戻されるが、保証会社事務手数料として10,800円控除される。
 三菱UFJ銀行 三菱UFJ銀行は保証料中心の金融機関である。保証料には一括前払い型と利息組込み型がある。一括前払い型は、返済期間30年、借入金額1000万円の場合、元利均等返済で191,370円必要となる。一方、利息組込み型は金利に年率0.2%上乗せされる。また保証料に加え、事務手数料が32,400円かかる。(なお、一部繰り上げ返済した場合、金額に応じた保証料が返戻されるが、保証会社事務手数料として10,800円控除される。※調査中)
 三井住友銀行 三井住友銀行は保証料中心の金融機関である。保証料には保証料外枠方式と保証料内枠方式がある。保証料外枠方式は、返済期間25年、借入金額100万円の場合、元利均等返済で17,254円必要となる。また保証料内枠方式は、金利に上乗せされる方式だが、公式サイトに具体的な金利は書かれていない。また保証料に加え、事務手数料が32,400円かかる。ただ、他の都市銀行から金利0.2%の上乗せと考えられる。(なお、一部繰り上げ返済した場合、金額に応じた保証料が返戻されるが、保証会社事務手数料として10,800円控除される。※調査中)
 りそな銀行 りそな銀行は、融資李手数料型と保証料型の2つのタイプから選べる金融機関である。融資手数料型は、融資金額✕2.16%に加え、保証会社事務取扱手数料として32,400円かかる。一方、保証料型には保証料一括前払い型と保証料金利上乗せ型がある。保証料一括前払い型は、返済期間35年、借入金額100万円の場合、元利均等返済で20,614円必要となる。保証料に加え、事務手数料が32,400円かかる。また保証料金利上乗せ型は、保証料と融資手数料は無料で、金利0.2%の上乗せと保証会社事務取扱手数料の32,400円必要となる。
 三菱UFJ信託銀行 三菱UFJ信託銀行は融資手数料中心の金融機関である。融資金額✕2.16%に加え、事務手数料として32,400円かかる。
 三井住友信託銀行 三井住友信託銀行は、融資李手数料型と保証料型の2つのタイプから選べる金融機関である。融資手数料型は、融資金額✕2.16%かかるが、保証取扱手数料はかからない。一方、保証料型には一括前払い方式と金利上乗せ方式がある。一括前払い方式は、返済期間35年、借入金額1000万円の場合、元利均等返済で206,110円必要となる。金利上乗せ方式は金利に年率0.2%上乗せされる。また保証料に加え、事務手数料が32,400円かかる。

ネット銀行等

 金融機関  項目
 イオン銀行 イオン銀行は融資手数料中心の金融機関である。融資手数料には定額型と定率型の2つあり、定額型は108,000円、定率型は融資金額✕2.16%(最低取扱手数料216,000円)かかる。
 じぶん銀行 じぶん銀行は融資手数料中心の金融機関である。融資手数料として融資金額✕2.16%かかる。
 新生銀行 新生銀行は事務取扱手数料(融資手数料)中心の金融機関である。事務取扱手数料は、選ぶ安心パックの種類によって異なり、いずれも定額である。安心パック108,000円、安心パックW・安心パックS162,000円、申し込まない場合は54,000円となる。
 住信SBIネット銀行 住信SBIネット銀行は事務取扱手数料(融資手数料)中心の金融機関である。事務取扱手数料として融資金額✕2.16%かかる。
 ソニー銀行 ソニー銀行は取扱手数料(融資手数料)中心の金融機関である。金額は商品によって異なり、住宅ローンは一律43,200円、変動セレクト住宅ローンと固定セレクト住宅ローンは融資金額✕2.16%かかる。
 楽天銀行 楽天銀行は融資事務手数料(融資手数料)中心の金融機関である。融資事務手数料は一律324,000円かかる。

※記載している金利などは最も低い金利です。

※審査の結果によって条件が変わる場合があります。


住宅ローンの借り換えをしない方がいいケース

住宅ローンの借り換えは、現在の貯蓄額が減る代わりに、将来の返済額を減らします。長い目で見れば、住宅ローンの借り換えをして、総返済額を減らした方がいいのですが、今あるお金を残しておく方が安心する人もいらっしゃるでしょう。

住宅ローンの借り換えで貯蓄が増えるわけでも、お金を受け取れるわけでもありません。そのため、現在の貯蓄額を減らしてしまうと他の支出に影響が出る場合は住宅ローンの借り換えによる効果があると分かっていても避けた方がいいかもしれません。

住宅ローンの借り換え方法を9つのパターンから選ぶ

住宅ローンの借り換えには6つのパターンがあります。借り換えの目的は利息額を減らすことですが、それ以外の目的で借り換えを行うこともできます。どのパターンにあてはまるか確認してみましょう。

効果は金利水準に変化がない場合で、金利水準の推移によって効果は変わります。

<住宅ローンの借り換え9つのパターンと効果>
現在の金利タイプ
全期間
固定金利型
固定金利
期間選択型
変動金利型
借換後の金利タイプ 全期間
固定金利型
リスク変化なし
利息軽減なし
リスク変化なし
利息軽減なし
リスク回避
利息軽減なし
固定金利
期間選択型
リスク変化なし
利息軽減小
リスク変化なし
利息軽減なし
リスク回避
利息軽減なし
変動金利型 リスク上昇
利息軽減大
リスク上昇
利息軽減中
リスク変化なし
利息軽減なし

 

(1) 全期間固定金利型から全期間固定金利型への借り換えを選ぶ

同じ金利タイプへの住宅ローンの借り換えは、金融機関の金利差を生かしたパターンです。借り入れている固定金利型の金利が4%で、新たに借り入れる固定金利型の金利が3%であれば、1%低い金利で借りることができます。

全期間固定金利型から全期間固定金利型への借り換えではリスクが変わらないため、住宅ローンの借り換えで基本的なパターンと言えます。現在、全期間固定金利型で借り入れている人は、まず全期間固定金利型への借り換えを検討してみましょう。

(2)  全期間固定金利型から固定金利期間選択型への借り換えを選ぶ

全期間固定金利型から固定金利期間選択型への借り換えは、金利上昇リスクを負うことなく、金利負担を減らす方法です。固定金利期間が終了後に金利タイプを再び選ばなければならず、金利が上昇している可能性がありますが、そのときには住宅ローンの残高がかなり減っているため、多少の金利上昇も問題ないと思われます。もちろん、シミュレーションをして確認しなければなりませんが、全期間固定金利型より固定金利期間選択型の方が金利は低く設定されますので、その差を生かした借り換えとなります。

(3)  全期間固定金利型から変動金利型への借り換えを選ぶ

全期間固定金利型から変動金利型への借り換えは、金利上昇リスクを新たに抱え、借り換えによる効果を重要視したパターンです。元々全期間固定金利型の金利より変動金利型の金利が低い上、金利水準の低下を伴っていれば、さらに低い金利で借り入れることが可能です。

新たに金利変動リスクを負うことを許容できるかどうかが問題となりますが、住宅ローンの借入残高が十分に減っていれば、リスクを許容できる可能性は高くなります。

 

(4) 変動金利型から変動金利型への借り換えを選ぶ

全期間固定金利型から全期間固定金利型への借り換えと同様、同じ金利タイプへの住宅ローンの借り換えです。借り換え時の金利水準より現在の金利が下がっている状況なら検討する価値があります。

同じ金利タイプの住宅ローンの借り換えなので、リスクは変わりません。借り換えのタイミングによりますが、変動金利型であっても、返済が進んでいれば、住宅ローン残高は減少していますので、金利上昇によるリスクは減少しているでしょう。念のため引き続き変動金利型で問題ないか、確認してから借り換えを実行すると安心でしょう。

 

(5) 変動金利型から全期間固定金利型への借り換えを選ぶ

変動金利型から全期間固定金利型への借り換えは、金利変動リスクを回避することが第一の目標です。金利が上昇傾向にあるときに行われる借り換えです。変動金利型が上昇していると固定金利型は先行して上昇しているのが一般的ですので、金利面で有利になる可能性は低いですが、これ以上、金利上昇により利息額が増えるのを防ぐことが重要です。さらに借り換え検討時まで変動金利型による恩恵を受けているでしょう。

変動金利型から全期間固定金利型への借り換えは、金利上昇をどれだけ抑えられるかがカギとなります。金利が上昇傾向にあると言っても、借り換え後に金利が下降する可能性もあるため、住宅ローンの借り換えをするか判断は難しいところです。変動金利型の金利が3%になったら住宅ローンの借り換えをすると決めておけば、迷いはなくなるでしょう。

(6) 変動金利型から固定金利期間選択型への借り換えを選ぶ

変動金利型から固定金利期間選択型への借り換えは、金利上昇リスクを回避しつつ、金利の上昇を最小限におさえたい人向けの借り換えです。一般的に変動金利型より固定金利型の方が金利は高いですが、固定金利期間選択型の金利は固定金利の期間によっては変動金利型の金利水準に近い金利で借りられます。また固定金利期間中は金利変動リスクを回避することができますので、当初は変動金利型にしたものの、金利上昇の家計に及ぼす影響が大きくなった場合などに有効です。

(7)  固定金利期間選択型から固定金利期間選択型への借り換えを選ぶ

固定金利期間選択型から固定金利期間選択型への借り換えは、当初の固定金利の期間満了時に他の金勇機関の固定金利期間選択型に借り換える方法です。金利上昇リスクは当初から引き続き回避でき、市場金利の状況によっては同タイプの金利でも利息額の負担を減らすことができます。

(8) 固定金利期間選択型から固定金利型への借り換えを選ぶ

固定金利期間選択型の期間終了後、同じ金融機関で固定金利型を選びたい場合、全期間固定金利型は選べず、固定金利期間選択型か変動金利型を選ぶのが一般的です。固定金利期間選択型の期間満了後に、、残りの期間をすべて固定金利型にしたい場合を含めて、住宅ローンの借り換えを行うパターンです。

固定金利型から固定金利型への借り換えなので、新たにリスクを負うことはありません。ただ住宅ローンの借り換えをしなくても、固定金利期間選択型の期間満了時の金利水準で金利が決まりますので、住宅ローンの借り換えを選んだとしても金利が上昇している可能性があります。

 

(9) 固定金利期間選択型から変動金利型への借り換えを選ぶ

固定金利期間選択型から変動金利型への借り換えは、たとえば10年固定であれば10年経過した時の金利タイプ選択時に行います。金利タイプの選択は、同じ金融機関で行いますが、金利タイプを検討しなければならないタイミングで住宅ローンの借り換えを実行するパターンです。

固定金利期間選択型の場合、固定期間が終われば強制的に考える時期が訪れますので、住宅ローンの借り換えを選択肢に加えます。変動金利型への借り換えで、金利変動リスクを負うことになりますので、金利上昇したらどのていど利息額が増えるか試算しておくといいでしょう。

住宅ローンの借り換えを諸費用も借りて資金なしで行う

住宅ローンの借り換えは、総返済額を減らす効果がある一方、借り換え時に諸費用が発生するため借り換え用の資金を準備しておかなければなりません。資金が十分でなければ借り換えができず、住宅ローンの負担を減らす機会を逃してしまいます。

しかし諸費用を含めて借り換えできる金融機関であれば、事前の準備は不要です。諸費用を借り入れるため新たに利息が発生しますが、その分を考えても借り換えによる効果があるかどうかの確認は必要です。

<借り換え費用を借りられる金融機関>

この記事を読むのにかかる時間:026
都市銀行
 金融機関  項目
 みずほ銀行 諸費用も借りられる
 三菱UFJ銀行 諸費用も借りられる
 三井住友銀行 諸費用は対象外(※要確認)
 りそな銀行 諸費用も借りられる
 三菱UFJ信託銀行 諸費用も借りられる
 三井住友信託銀行 諸費用も借りられる
ネット銀行等
 金融機関  項目
 イオン銀行 諸費用も借りられる
 じぶん銀行 諸費用も借りられる
 新生銀行 諸費用(事務手数料は除く)も借りられる
 住信SBIネット銀行 諸費用も借りられる
 ソニー銀行 諸費用も借りられる
 楽天銀行 諸費用も借りられる

※各金融機関の住宅ローン商品概要説明書で確認しております。詳しくは各金融機関にお問い合わせください。

諸費用を含めて借り換えを行う場合でも、諸費用がなるべく安い金融機関で借り換えることができれば、諸費用にかかる利息額を抑えることができ、借り換えの効果を十分に発揮できるでしょう。

住宅ローンの借り換え先を選ぶ手順

住宅ローンの借り換えでは、新規で借入先を選んだように、借り換え先を探し、選ばなければなりません。時間がなく面倒だから各サイトに掲載されているランキングを信じて借り換え先を選ぶのも一つですが、せっかく住宅ローンの借り換えを決意したのであれば、最大限、利息額が軽減できるよう調べておきたいところです。

これから住宅ローンの借り換え先を探そうとしている人にとって、どこから手を付けていいか分からないと思いますので、住宅ローンの借り換え先を選ぶ手順について解説していきます。

 

住宅ローンの借り換え先を選ぶための最低ラインを決める

住宅ローンの借り換え先は、金利など借り換え条件の良い金融機関から候補になりますが、必ずしも審査に通るとは限りません。そこで、借り換え条件の良い金融機関だけでなく、借り換えをする最低ラインの金融機関までピックアップしておき、そのラインを下回ったら借り換えはしないと決めておきます。借り換えでは諸費用の支払いに現金が必要となりますが、貯蓄が少なくなっても借り換えをするギリギリのラインを決めておくのです。

住宅ローンの借り換え先選びにはランキングも参考になる

住宅ローンの借り換え先をやみくもに探しても時間がかかるだけです。様々なサイトでランキングやおすすめの借り換え先を紹介しています。シミュレーション結果は個々の借り入れ状況によるため当てになりませんが、シミュレーションすべき金融機関として選択肢になります。

住宅ローンの借り換え先の候補を絞り込む

シミュレーションすべき金融機関をピックアップできたら、順にシミュレーションをして借り換えによる効果を調べていきます。最終的には審査に申し込む金融機関を3行ほどにまで絞り込みます。

住宅ローンの借り換え先に審査を申し込む

住宅ローンの借り換え先を絞り込んだら、審査に申し込みます。申し込む金融機関は複数でも構いません。最初は最も借り換えによる効果の高い金融機関に申し込み、その金融機関で審査が通らなければ、他の金勇機関の審査に申し込んでもいいでしょう。

住宅ローン借り換え先の賢い選び方を学び、利息額を軽減する方法まとめ

住宅ローンの借り換えでは、借り換え先選びが大変だと思います。借り換えの効果は借り換える金額、金利差、返済期間など様々な借入条件によって異なりますので、自らシミュレーションをしてその効果を確認するのがベストです。自分でシミュレーションをして金融機関を比較できればおすすめの金融機関が本当におすすめかなど与えられた情報が正しいかどうかも判断できるようになります。

住宅ローンの選び方をじぶん銀行の公式サイトから学ぶ

この記事を読むのにかかる時間:316

じぶん銀行の公式サイトから見る住宅ローンの選び方

初めて住宅ローンの利用を考えている人にとって、金融機関のサイトをどのように閲覧したらよいか分からない場合もあるでしょう。基本的には金融機関ごとの強みをアピールしている場合が多く、必要な情報にたどり着くのに時間がかかることがあります。そこで、金融機関のサイトをどのように見ればよいのか、じぶん銀行のサイトで確認していきます。

じぶん銀行のトップページからじぶん銀行の特徴が分かる

じぶん銀行に限らず、基本的には「売り」となるポイントを強調するはずです。他の金融機関のサイトを見る際にも参考になると思います。

トップページの上部は最も力を入れている可能性が高い

サイト構築をすると分かりますが、基本的に表示される瞬間の情報にインパクトが必要となります。そのため、一番最初に表示されるトップページの上部にはメリットが記載されている可能性があります。

じぶん銀行サイト トップページ上部

▼がん50%保障付き団信は保険料無料

じぶん銀行のがん50%保障団信

じぶん銀行のがん50%保障付き団信は、がんと診断されたら返済額が半分となる保障が付いている団信です。他の金融機関では取り扱っていない保障内容で、さらに保険料は無料なのでじぶん銀行の特徴の一つとなっています。ただ、一方、保険料を無料とする発想は「他の金融機関にもある」「もっと保障がよく無料の金融機関がある」と考え、「比較もせずにじぶん銀行が絶対的に魅力である」として比較検討せず選ばないようにしたいものです。

じぶん銀行サイト トップページ上部やや下

▼金利の低さが強み

じぶん銀行の特徴は低い金利

さらにスクロールしてみると、「魅力の金利」とあり、金利の低さをうたっています。実際にじぶん銀行の金利は比較的低く、魅力的です。

じぶん銀行4つのメリット

すぐその下には「4つのメリット」が書かれており、うち2つはすでに紹介されているメリットです。「契約書の記入や捺印が不要」であることで借入先を選ぶ可能性は低く、また「色々お得な6つの「0円」はたいてい他の金融機関と同じ内容なので、比較する際のポイントにはなりません。

6つの「0円」の内容

費用がかからない6つは、一般団信の保険料、がん50%保障団信の保険料、保証料、資金移動、一部繰り上げ返済手数料、収入印紙です。一般団信の保険料と一部繰り上げ返済手数料が無料である金融機関がほとんどですし、保証会社を使っていないため保証料は「0円」ですが、事務手数料で同水準の金額が必要ですので、負担が極端に小さくなるわけではありません。また、web完結の住宅ローンであれば、収入印紙が不要であることも一般的です。

資金移動にどれだけ需要があるか分かりませんが、「0円」で他の金融機関と比較し差が付くのは、やはり、トップページの上部にあった「がん50%保障団信の保険料」が無料となることでしょう。

選び方を間違えば負担が大きくなる4大費用

借入先を選ぶ際、金利(利息額)、事務手数料(保証料)、火災保険料、団信保険料の4大費用は金額が大きく、十分、比較検討しなければ、同じ借入金額でも数十万円、数百万円の違いが生まれます。このことを踏まえ、じぶん銀行のトップページを見てみると、金利は強みとして記載していますが、火災保険料については何も書かれていません。団信保険料は、保障内容によっても「無料」の価値は変わりますので、このページだけでは判断できませんが、がん50%保障団信の保険料が無料であることはポイントの一つです。保証料は無料ですが、事務手数料は「融資金額×2.16%(税込)」と標準的です。金利が比較的低く、事務手数料は標準的ですので、他の金融機関と比較しなければ借入先となるかどうかの判断はできないでしょう。

火災保険料については、金融機関で取り扱っている場合、割引などが受けられ、アピールしている金融機関もありますが、割引があっても、保険料は安いとは限りません。そのため、「火災保険料の取り扱いあり=メリット」と考えてしまうと負担が大きくなる可能性があります。

好感の持てるじぶん銀行の公式サイト

仕事上、金融機関のサイトで調べることが多いですが、じぶん銀行のサイトは、初めて訪問する人にとっても非常に見やすい構成になっています。ほとんどの金融機関で「強み」となるポイントを大きく表示し、他の金融機関と比べ高い費用については探すのも一苦労で、たいてい小さい文字で書かれています。

じぶん銀行の特徴は低い金利

じぶん銀行の場合、金利を大きく表示していますが、割と目立つ大きさで左側に「別途借入金額の2.16%(税込)の事務手数料が発生します」と書かれています。4大費用についてのほとんどの内容をトップページで確認できますので、好感が持てるのです。

金融機関では「顧客本位の業務運営」を提唱していますが、じぶん銀行のサイトの見やすさを見習ってほしいものです。

「じぶん銀行の公式サイトから見る住宅ローンの選び方」まとめ

今回紹介したじぶん銀行のホームページは、トップページで必要な情報を得ることができ、借入先を選ぶ人を考えたサイトと言えます。しかし、金融機関の中には、サイトの奥深くまだ探さないと必要な情報が見つからないことがあり、不親切なサイトが多いです。そのため、サイトから情報を得る前に、次の内容を中心に探すようにしましょう。探す目的がはっきりすれば探す時間を短縮できます。

住宅ローン4大費用を探す
・金利
・事務手数料(保証料)
・火災保険料
・団信の保険料

・金利:たいてい調べやすくなっています。ただし複数の金利がありますので、目当ての金利を探すのは苦労するかもしれません。
・事務手数料(保証料):金融機関によっては探すのに苦労します。一部の金融機関では複数の事務手数料を設定しているため、違いに気づかないケースも考えられます(実際に私のお客様は気づいておりませんでした)。
・火災保険料:火災保険料も合わせて取り扱いがある金融機関は記載があるでしょう。しかし火災保険料の割引が必ずしもメリットにならないことに注意してください。
・団信の保険料:たいていの金融機関のサイトで見つかるでしょう。ただ団信につける保障内容によって保険料の有無が異なりますので、注意して比較する必要があります。
4大費用を中心に自分に合った借入先選びを実施してみてください。

住宅資金があっても全額住宅ローンを組んで手持ち資金を運用した方が得か?

この記事を読むのにかかる時間:324

住宅資金があっても全額住宅ローンを組んで手持ち資金を運用した方が得か?

住宅ローンの金利はこれまでの推移から考えると、低い水準が続いています。金利が低いと、住宅ローンは全額借り入れ、頭金は元本として投資した方が得なのでは?という疑問がわきます。ここでは、全額住宅ローンを組んで運用した方が得か?考えていきます。

借入金額とほぼ同額の資産があれば、全額借り入れしても良さそう

3,000万円の住宅を取得しようすとする際、3,000万円全額借り入れるとします。当然利息が発生しますが、別に3,000万円の資金があり借入利率を上回る運用できるのであれば、3,000万円で一括購入するより良いのではないか、と考えるでしょう。ただ住宅ローンを利用すると、利息額以外に、融資金額に応じた事務手数料がかかります。まず、金利の低いフラット35S(Aタイプ)で全額借り入れた場合と一括購入した場合とで比較してみましょう。

【比較1】フラット35S(Aタイプ)/借入金額3,000万円/返済期間30年

2019年2月の金利は、当初10年1.50%、11年目以降1.75%となっています。これらの条件で利息額と事務手数料(融資金額×1.08%)を計算すると、次のようになります。

・利息総額 7,869,279円
・事務手数料 324,000円
合計 8,193,279円
※登記費用や司法書士報酬などその他の費用は考慮せず。

住宅ローンで全額借り入れると、一括購入した場合と比べ、約820万円余分にかかることになります。全額借り入れたことで手元に残った3,000万円を運用し、30年間で約820万円の利益が出ればいいことになります。上場株式や投資信託の税率は20.315%ですので、税金を考慮すると、約1,030万円の利益が必要となります。3,000万円の資金を30年間複利運用し、4,030万円にするためには、実質年利約0.989%を超えればいいことになります。ポートフォリオ運用をした経験がある人であれば、0.989%という数値は決して難しくないと感じるのではないでしょうか。また1%の複利運用で、30年後には約1,000万円増えることも魅力です。さらに、つみたてNISAやiDeCoを利用すれば税制優遇を受けられるためより効果的に運用することができます。3,000万円の借り入れで、住宅ローン控除による還付金が10年間で250万円程度あれば、プラス要素です。

もちろん、デメリットもあります。まず計算は、3,000万円を使わず、すべて運用に回せる状態でなければなりません。教育費用などに使ってしまうと運用効率が落ちますので、事前に運用できる金額を決めておくといいでしょう。ただ手元に資産が残るため、緊急資金に利用できるというメリットもあります。また元本保証のない資産運用ですので、結果的に一括購入した方がよかったことになる場合もあります。

【比較1】物件価格の8割を借り入れた場合と比べると?

3,000万円の現金を持っている人は少ないかもしれませんので、もう少し現実的に、全額借り入れる場合と600万円(融資率8割)を頭金にし2,400万円借りた場合とで比べてみます。全額借り入れた場合は600万円を運用に回すことにします。

近年の住宅ローンでは、融資率9割以下や8割以下になると金利が下がる商品があります。このことを踏まえて、比較してみましょう。

・3,000万円借り入れ 当初10年1.50%/11年目以降1.75%
 事務手数料1.08%
・2,400万円借り入れ 当初10年0.96%/11年目以降1.21%
 事務手数料2.16%

上記の条件で計算すると、次のようになります。

・負担額 2,572,519円
※600万円多く借り入れたことによる増加分

事務手数料率は低くなるものの、3,000万円全額借りると、約257万円負担が増えることになります。600万円を元手に30年間の投資で323万円(税金考慮済)以上利益が出ればいいことになります。先ほどと同様、複利計算で必要な利率を計算すると、実質年利1.446%必要となります。こちらもポートフォリオ運用では難しい運用とは言えません。なお、こちらのデメリットも先ほどと同様です。

【比較2】は誰でも実践できそうな方法?

【比較1】は現金3,000万円がなければなりませんが、【比較2】は600万円あればできますので、比較的ハードルは高くないかもしれません。ただ一般的に借金は少ない方が精神的な負担は軽いと思いますので、この方法を選択するための条件を考えてみます。

<あえて全額借り入れる場合の条件>
・ある程度の投資経験がある。
・資金を他に回す必要がない。
・運用が上手くいかなくても、自ら選択したこととし後悔しない。
・年収1,000万円以上などある程度の収入がある人ほど積極的に利用できる。など

他にも条件があるかもしれませんが、誰でも積極的に利用できる方法とまでは言えないでしょう。

預金連動型住宅ローンを利用する方法も

預金連動型住宅ローンは、預金残高分の利息はかからない商品です。そのため、資産運用に自信のない人は、預金連動型住宅ローンを利用することで、利息負担を軽減することができます。たとえば、3,000万円のローンを組み、預金に3,000万円あれば利息はかかりません。

ただ預金連動型住宅ローンは、住宅ローン残高分は引き出せません(引き出すと利息を負担しなければならない)ので、3,000万円全額を資産運用に回すことはできません。また東京スター銀行の住宅ローンを想定していますが、融資率9割以内でなければならず、全期間固定金利型がありません。また預金連動型と言っても諸費用はかかりますので、3,000万円以上の資金が必要となります。住宅ローンの借入利率以上の運用をして利益を得たい場合には対象外の商品となってしまいます。

「全額住宅ローンを組んで運用した方が得か?」まとめ

住宅ローンの低金利を利用した投資について初めて知ると、目からうろこが落ちるような感じを受けるかもしれません。くれぐれもその感情のまま行動せず、ご自身の状況を踏まえ、メリット・デメリットを考えてから実行してください。

住宅ローンの一部繰り上げ返済すると得か損か

この記事を読むのにかかる時間:458

住宅ローンの一部繰り上げ返済すると得か損か

一部繰り上げ返済をすると、住宅ローン控除との兼ね合いで、得をするのか損をするのか判断するためのシミュレーションをします。

住宅ローン控除と一部繰り上げ返済

シミュレーションの解説をする前に、住宅ローン控除と一部繰り上げ返済の基本的な仕組みについて紹介しておきます。

住宅ローン控除

住宅ローン控除は要件を満たせば、借入当初から10年間、「住宅ローン残高✕1%」分が控除される制度です。残高の条件は、一般住宅で4,000万円、長期優良住宅で5,000万円となっています。住宅ローン減税の基本的な仕組みは、一般住宅でも長期優良住宅でも同じなので、ここでは一般住宅で解説していきます。

一般住宅の上限額が4,000万円ですので、年末残高が4,000万円以上でも4,000万円として計算されるため、「4,000万円×1%=40万円」が最高控除額となり、10年目の年末のローン残高も4,000万円以上あれば、「最大40万円×10年=400万円」控除されます。

また住宅ローン控除は支払った税金以上に戻ってくることはありませんが、引ききれなかった分は翌年度の住民税から控除してもらえるため、ここでは個々に異なる税額は考慮せず、「残高×1%」だけでシミュレーションしていきます。

一部繰り上げ返済

一部繰り上げ返済は、返済期間中にまとまった金額を返済し、その分の利息を軽減させることを主な目的とするメンテナンス方法です。一部繰り上げ返済には、返済期間を短くする期間短縮型と毎月の返済額を軽減する返済額軽減型がありますが、同じ金額を繰り上げ返済する場合、期間短縮型の方が効果が高いという特徴があります。

さて、このシミュレーションの目的ですが、一部繰り上げ返済を借入当初から10年以内で行うと、住宅ローン残高が減少するため、住宅ローン控除に影響します。しかし、利息は残高が多いほど増えることから、一部繰り上げ返済を早い時期に行うと効果は高くなります。ただこの手のシミュレーションで変動金利型は変動しないものとすることが前提となっていますので、金利が変動するとシミュレーション結果も変わってきます。ここでも固定金利型または金利は変動しないものとしてシミュレーションした結果を解説していきます。

・住宅ローン控除は、10年以内に一部繰り上げ返済を行うと効果が少し下がる。
・一部繰り上げ返済は、10年以内に行うと効果が高い。
・10年以内に金利が上がらないことが前提である。

住宅ローン控除と一部繰り上げ返済、どちらが効果的か

住宅ローン控除と一部繰り上げ返済の効果について解説しましたので、ここからいくつかのパターンをもとにシミュレーションしていきます。

【比較1】3年ごとに100万円を繰り上げ返済する

利息額は借入金額、返済期間、金利で決まります。まずは、借入金額3,000万円、返済期間30年、金利は0.5%と1.0%の場合で見ていきましょう。

A:当初10年間で一部繰り上げ返済をする。
・一部繰り上げ返済は、2年目の最後に行ってから、3年×5回行い、各100万円返済する。
B:当初10年間で一部繰り上げ返済をしない。
・11年目の最後に400万円、14年目の最後に100万円の一部繰り上げ返済をする。
※当初10年間で一部繰り上げ返済をしない分は貯金し、11年目の最後にまとめて返済するものとする。つまり、A・Bともに合計500万円の返済をする。
※一部繰り上げ返済の費用はかからないものとする。
※住宅ローンの金利は変動しないものとする。

金利0.5%と金利1.0%

比較1一部繰り上げ返済した方が得か損か

分かりやすく色分けしております。上部の表が住宅ローン減税額、下部の表が利息額を表しています。それぞれの軽減額は次のとおりです。

金利0.5%

Aは減税額ではBより151,106円の損だが、利息総額では92,757円の得となります。よって、金利0.5%の場合は、当初10年間では一部繰り上げ返済をしない方がいいと分かります。

金利1.0%

Aは減税額でBより153,095円の損だが、利息総額では200,352円の得となります。よって、金利1.0%の場合は、当初10年間で一部繰り上げ返済した方がいいことになります。

AとBとで結果が異なる理由

金利が上がると、当初10年間の利息額が増えるため、住宅ローン控除より一部繰り上げ返済をして利息額を減らした方が効果が高くなります。逆に、金利が下がると、当初10年間の利息額が減り、一部繰り上げ返済による利息軽減効果も下がるため、一部繰り上げ返済をせず、住宅ローン控除による軽減効果に期待した方がいいことになります。

金利0.5%から金利1.0%までの範囲でシミュレーション

金利0,5%から金利1.0%の範囲で、一部繰り上げ返済した方が有利な金利、不利な金利を確認した表です。金利0.8%では一部繰り上げ返済により減税効果が下がりますが、それ以上に利息軽減効果が高く、プラスになっていることが分かります。それが金利0.7%になるとマイナスになり、一部繰り上げ返済をせず、11年目以降に一部繰り上げ返済をした方がいいことになります。

比較1一部繰り上げ返済した方が得か損か

一部繰り上げ返済をした方が不利にもかかわらず返済してしまうと

たとえば金利0.5%で一部繰り上げ返済をすると約6万円損してしまいますが、返済しなければ約6万円得となります。つまり、不利にもかかわらず返済してしまうと、返済しない場合と比べ約12万円の差が出ることになります。基本的に一部繰り上げ返済は金利が高い場合に有利となりますが、どのラインで有利・不利が分かれるかは、一部繰り上げ返済をするタイミングなど、様々な条件によって異なります。

【比較2】毎年50万円を繰り上げ返済する

次に、毎年50万円を一部繰り上げ返済した場合と、12年目の最初に、つまり当初10年間は一部繰り上げ返済をしない場合とで比較してみましょう。その他の借入条件は先ほどと同様、借入金額3,000万円、返済期間30年、金利は0.5%と1.0%の場合で確認します。

A:当初10年間で一部繰り上げ返済をする。
・一部繰り上げ返済は、毎年50万ずつ10回行い、計500万円返済する。
B:当初10年間で一部繰り上げ返済をしない。
・11年目の最後に500万円をまとめて一部繰り上げ返済をする。
※当初10年間で一部繰り上げ返済をしない分は貯金し、11年目の最後にまとめて返済するものとする。つまり、A・Bともに合計500万円の返済をする。
※一部繰り上げ返済の費用はかからないものとする。
※住宅ローンの金利は変動しないものとする。

比較2一部繰り上げ返済した方が得か損か

今回も、金利0.5%では一部繰り上げ返済をしない方が109,801円得をし、金利1.0%では一部繰り上げ返済をすると65,199円得をすることが分かります。もし金利0.5%で一部繰り上げ返済をしてしまうと、109,801円得をしないだけでなく、109,801円損をしてしまうため、約22万円の差が生まれてしまいます。先ほどと同様、金利0.1%刻みでまとめたものが次の表です。

比較2一部繰り上げ返済した方が得か損か

今度は先ほどとは異なり、金利0.8%~0.9%間に分岐点があり、一部繰り上げ返済をしたらいいかどうかのラインを引くことができます。

当初10年間で一部繰り上げ返済する金額と金利で分岐点が変化する

住宅ローン減税額をX、減税差額を(Xa-Xb)とし、利息額をY、利息差額を(Ya-Yb)とすると、
■(Ya-Yb)-(Xa-Xb)>0 
⇒ 一部繰り上げ返済した方が「得」(一部繰り上げ返済しないと「損」)
■(Ya-Yb)-(Xa-Xb)<0 
⇒ 一部繰り上げ返済しない方が「得」(一部繰り上げ返済すると「損})
となります。
利息差額が大きければ大きいほど、減税差額が小さければ小さいほど、金利が高ければ高いほど、一部繰り上げ返済が有利となります。

一部繰り上げ返済した方が得か損か

借入金額程度の資金で運用する

2019年2月現在、固定金利型でも1%前後の金利となっており、一部繰り上げ返済をせずに、その金額を元手に資産運用する方法もあります。資産運用の経験があり、ある程度の知識がある人は投資資金に回すのもいいでしょう。この方法は人を選びますが、資金的に余裕がある人は特に有効です。つまり資金面、経験面などの条件が整っていない限り勧めることはできません。金利差を利用することを初めて知った人は、お金の知識を得て、あの流行した本にあるように「お金に働いてもらう」と考えるかもしれませんが、中長期的なお金の流れを考え、他の支出とのバランスを考えた上で判断した方がいいでしょう。

住宅ローン控除と一部繰り上げ返済、どちらが効果的かのまとめ

変動金利型を選んだ人は、金利が変動していないことが条件ですが、金利0.5%に近い場合には一部繰り上げ返済しない方が得となります。一方、固定金利型を選び1%前後の金利で借り入れている人は一部繰り上げ返済した方が得となります。ただ固定金利型で一部繰り上げ返済額が少ない場合は今回検証していません。いずれにしても、一部繰り上げ返済の計画を立て、シミュレーションしておくといいでしょう。

住宅ローンの総支払額が少ない方がよいとは限らない場合もある

この記事を読むのにかかる時間:143

一般的には住宅ローンの総支払額は少ない方がいい

住宅ローンの総支払額は、このサイトでは諸費用を含めた総返済額を指すことにしています。金利はもちろん、金額が大きい事務手数料の額で金融機関の差がつきますが、一般的には総支払額は少ない方がいいでしょう。ただ情報サイトを中心に「総支払額が少ない方がいい」ことが前提条件になっており、疑問を挟む余地がありません。住宅ローンには審査がありますので、総支払額が少ない金融機関で借りられるとは限らないですが、そもそも「自分に合った商品を選ぶ」という視点がないため、最も総支払額の少ない住宅ローンを選ぶことを金科玉条としています。

商品販売をしていないファイナンシャルプランナーが持つ強みの一つは、家計の状況やご家族の考え方に合わせたアドバイスができることです。誰もが同じ方向に進んだり、同じ手段を取るのであれば、簡単ですが、そうはいきません。ファイナンシャルプランナーとして独立している方々の記事を読むと、柔軟性が読み取れ、その違いが分かるでしょう。

住宅取得資金を貯めるか借りるかどちらがいい?

大雑把に言うと、支出への対応は貯めるか借りるかの二通です。基本的に借りるより、貯めてから支出した方が利息を支払う必要がないか少なくなり、家計への負担は少なくなります。しかし、すべての支出に対して「貯金」するのは難しいかもしれません。教育費は保険で貯めるが、自動車はローンを利用するなど、様々な場面で使い分けしていると思います。

つまり、頭金を住宅取得資金の2~3割あった方がいいという考え方も納得できますし、たとえ十分な住宅取得資金があっても全額住宅ローンで借り入れた方がいいという考え方も納得できます。基本的には利息の支払額は少ない方がいいため、頭金があった方がいいですが、どの方法がいいかは、家計の状況次第です。個人相談などで、家計に関する相談をしていく中で、長期的な視点で結論が自然に出てくるご家庭が多いです。

総支払額が少なくても借入時の負担が大きい場合は?

上記の表は、ある条件のもとでシミュレーションした場合の利息額と事務手数料の額です。ARUHIと楽天銀行を比較すると、金利が低い分、ARUHIの方が利息額は少なく、事務手数料は2倍ですが、負担は軽いことが分かります。つまり、「35年間の長期」で考えるとARUHIの方がいいでしょう。

しかし実際には、借り入れ時に65万円ほど支払わなければなりません。借り入れ時には他にも様々な費用がかかるため、家計の状況によっては借入当初の支出額を重視した方がいいと判断するケースもあるでしょう。つまり、「現在」で考えると楽天銀行の方がいいという判断も可能です。

重要なことは、常にこのような住宅ローンなどの商品の選択をしているかどうか

今回のARUHIを選ぶか、楽天銀行を選ぶかは人それぞれです。家計を分析した上で選ぶのであれば、合理的な選択をしていると考えられます。しかし、最初からARUHIしかなくARUHIを選ぶのと、楽天銀行との違いを正しく理解してARUHIを選ぶのとでは意味が違うと考えています。様々な場面で、勝手に選択肢を減らされていることに注意しましょう。なお、必ず表のような結果になるとは限りません。比較検討する際には必ず皆さんの条件で試算してください。

世帯年収400万円で住宅を購入できるか

この記事を読むのにかかる時間:337

住宅取得に向けて年収400万円の世帯が家計を把握する

世帯年収400万円と言っても、ご家庭の状況によって異なります。ご夫婦どちらか一方(もしくはシングル)が年収400万円というケースもあれば、夫(又は妻)が年収300万円、妻(又は夫)が年収100万円のケース、夫(又は妻)が年収200万円、妻(又は夫)が年収200万円のケースなどが考えられます。

この記事では、年金額や教育費など中長期的な支出について触れながら、住宅取得資金について考えていきますが、世帯年収400万円の構成割合によっても将来の家計の状況が変わります。将来の状況が異なれば、現時点で取るべき方法も異なります。

住宅取得前に必ず考えるべきこと

最初に考えなければならないのは、退職後の生活資金が十分かどうか、不足額はどのくらいかを想定することです。そのためには、年金額を算出しなければなりません。年金額は、年収だけでなく、厚生年金に加入しているか、国民年金のみかによって異なります。たとえばご夫婦ともに国民年金のみ(厚生年金未加入)であれば、一人年額779,300円(平成31年度)ですので、ご夫婦で(未納がなければ)年額156万円の収入となります。

<年金額早見表>
年金早見表

※加給年金(振替加算)は含まない。
※賞与なし(給与に含まれる)

簡単に年金額早見表を作成してみました。項目はそれぞれ年収と厚生年金加入期間を表します。たとえば夫の年収が平均300万円で37年間働き、妻が専業主婦でパート収入の100万円のみ(厚生年金なし)だと年金額は220万円となります。世帯年収が400万円の場合、表の太枠内が年金額の目安となります。なお、この金額には加給年金(振替加算)や改定率は考慮しておりませんので、実際に「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」で確認するといいでしょう。

住宅取得前に退職後30年間の収入と支出を考える

先ほどの年金額をもとに、30年間の収支を計算してみます。

退職後の収入額(年金収入)

たとえば夫の年収が300万円、妻がパートで100万円だったとします。年金額は220万円ですので、

220万円×30年=6,600万円

が収入合計となります。実際には変動率を加味しますが、ここでは省略します。

退職後の支出額

ここでは、普段の相談ではしないアプローチをしてみます。収入が6,600万円ですので、30年間でピッタリ使用できる金額は、

6,600万円÷30年÷12ヶ月=約18万円

となります。月18万円で生活できれば、年金収入のみでやり繰りできますので、退職までに貯蓄をしなくてもいいことになります。ただ、この金額には、毎月の生活費以外にも自動車の維持費、冠婚葬祭費、旅行代、家電・家具買換え費用など数年ごとの支出も含まれています。

変動率を加味した場合も触れておきましょう。たとえば、30年後の収入の変動率が0.5%、支出の変動率が1.0%だったとします。つまり物価の上昇率の方が先行して上昇しているケースです。変動率を加味しなければ、不足額なしでしたが、この場合は1,230万円の不足となります。

収入:220万円×(1+0.005)30×30=7,665万円
支出:220万円×(1+0.01)30×30=8,895万円
収支:7,665万円-8,895万円=▲1,230万円

さらに、退職後も変動率に差があれば、不足額は大きくなりますが、計算上は年金額に物価変動率が加味されますので、この金額をベースに考えます。

月18万円で生活できたとしても、1,200万円は不足する

ここまでの金額はあくまでも例ですが、ここで考えていただきたい点は、退職後の生活費にどのぐらいかかるか、不足額はどのくらいか、ということです。生活費が月25万円必要となれば、不足額は約4,500万円になります。なお、退職金が期待できる場合は、不足額は少なくなります。

住宅を購入する前に、この不足額を算出することをお勧めします。住宅取得前であれば、住宅価格などを調整することで、無理のない貯蓄ができるためです。人生三大支出のうち、住宅取得価格は下げやすい支出です。教育費や退職後の生活資金を減らすには限度がありますので、住宅取得前に家計を見直すいい機会と考えています。

年金の計算は複雑だが、必ず確認する

エクセルなどの表計算ソフトを使えば、もっと簡単に色々なことができますが、「ねんきんネット」を利用すれば簡易的ですが年金額の試算を行うことができます。住宅の規模を考える際には、必ず年金額を試算してから判断しなければ、判断材料が不十分で、見誤る可能性があります。

世帯年収400万円なら住宅規模はどのくらいか

年金額の試算をすれば、おおまかに不足額を算出することができます。たとえば不足額が3,000万円であれば、退職前までに3,000万円を貯蓄しなければなりません。

本来であればエクセルで資料を作成しますが、ここでも簡易的に考えてみましょう。

退職までの収入

収入は平均で400万円とし、30年間の合計額を算出することにします。

収入:400万円×30年=1億2,000万円

退職までの支出

今回は、住宅規模を知りたいため、住宅ローンの返済額以外の支出額を考えます。食費や被服費など基本生活費を15万円とし、子供一人の教育費を1,000万円とします。

・15万円×12ヶ月×30年=5,400万円
・子供一人分の教育費:1,000万円
・支出額:6,400万円

退職までの収支

・収支:1億2,000万円-6,400万円-3,000万円=2,600万円

収支の残り2,600万円は住宅に使うことができます。ただ、この計算が成立するためには、物価上昇がないこと、少なくとも物価の上昇率より給与の上昇率の方が高くなければなりません。しかも、自動車の維持費、通信費、保険料など居住費と教育費を除くすべての支出を基本生活費として15万円以内にする必要があります。年1回の旅行や帰省費用、家具・家電の買換えなど数年ごとの支出も考えなければなりません。

ここまでの試算に疑問を持つ必要がある

ここまでの計算は、分かりやすさ優先で解説しています。物価上昇率を加味していませんし、教育費や生活費もかなり大雑把です。この記事をもとに、「年収400万円=住宅規模2,600万円」とは考えないようしてください。このことは住宅ローンのシミュレーションなどでも同様です。家計の状況は個々に異なります。将来にわたり安心して生活するためにも、実際にエクセルなどを使用し、試算することをお勧めします。

これまでの相談した経験から、収入が高いほどゆとりがあるとは限りません。支出の仕方が家庭によって異なるからです。支出額が家計によって違うため、年収からだけ住宅ローンの借入額を判断することは危険です。上記の例で、退職後の生活費を考えず、年収からたとえば3,000万円のローンを組んでしまうことの危険性はご理解いただけたのではないでしょうか。

ARUHIのフラット35は本当にお得なのか

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ARUHIのフラット35は本当にお得なのか

ARUHIの仕組みが分かると、金融機関の商品や住宅ローンの仕組みが分かってきます。最近は、他行の商品を扱っている金融機関やフランチャイズを展開している金融機関があり、複雑化しています。ARUHIを理解すると全体像が見えてきますので、住宅ローン選びに役立ててください。

フラット35の借入先候補となるARUHI

ネットを検索して初めて、ARUHIという金融機関を知った人は多いでしょう。ARUHIは銀行ではなく、フラット35を扱う金融機関ですので、住宅ローンを利用する人でなければお目にかかれません。このARUHIの商品から、どうすれば自分に合った商品を選ぶか考えていきます。なお、私のお客様にはARUHIを使う方もいれば、使わない方もいます。私は情報をお伝えするだけで、選ぶのはお客様自身ですので、私が強く勧めたり、逆に止めるよう忠告することはありません。ただ間違った認識で選ばないようにアドバイスしております。

ARUHIのフラット35はお得なのか

「ARUHIのフラットは他のフラットより金利が低い」として勧められたことはあるでしょう。実際に、一定額の頭金が必要ですが、金利水準は低いです。ただもう少し、住宅ローンについて知らなければ、単純に「ARUHIはお得と勧められた⇒ネットで確認したら本当だった⇒ARUHIにした」というロジックで借入先が決まってしまいます。住宅ローンに限らず、商品を選ぶ際には、このような思考が見られるのではないでしょうか。

様々な金融機関と十分に比較検討した上でARUHIを選ぶ分には問題ありませんが、何も検討せずARUHIを選んだとすると、実際には負担が大きくなる可能性もありますので、注意が必要です。

そもそもARUHIのフラットはほかのフラットとは別商品

フラット35には買取型と保証型があります。買取型は決められた範囲内でしか金利が決められず、ほとんどの金融機関で最低金利を採用しています。一方、保証型は住宅金融機構が保証会社となる住宅ローンで、買取型とは全く別の商品です。大多数は買取型であるため、保証型のARUHIは特徴的に見えます。ARUHIだから金利が低いのではなく、保証型だから金利が安いと認識した方が比較しやすくなります。しかし、2019年1月現在、広島銀行が新たに加わりましたが、保証型を扱う金融機関は4行(ARUHI、広島銀行、日本住宅ローン、財形住宅金融株式会社)しかありません。

さらに、保証型を取り扱う金融機関のうち、一般的に利用できるのはARUHIか広島銀行となります。日本住宅ローンは、積水ハウス、大和ハウス工業、住友林業、セキスイハイムで住宅を建築・購入した場合に適用され、財形住宅金融株式会社は勤め先の会社で利用している必要があります。つまり、フラット35で金利が低く、広く一般的に利用できる住宅ローンはARUHIのみとなります。

ARUHIには買取型もある

ARUHIには買取型もあり、買取型の金利は他の金融機関と同じく最低金利を採用しています。そのため、保証料が元々ないフラット35ですので、差が出るのは主に事務手数料となります。ARUHIの保証型ではなく買取型で借り入れる場合は特に注意が必要です。

「ARUHIはお得と勧められた⇒ネットで確認したら本当だった⇒ARUHIにした」というロジックで考えた場合、最初の「お得」は保証型を指すことが多く、「保証型は選ばなかった⇒でもARUHIはお得でしょ?⇒ARUHIにした」というロジックになると、比較していないことになります。

そもそもフラット35の保証型は、頭金2割(融資率80%以下)という条件で金利が優遇されるため、これまで十分に準備してきた人しか利用できません。住宅金融支援機構は保証型の取り扱いを増やす意向ですが、現状では「保証型ならARUHI」というロジックはある程度成立します。しかし買取型の場合は、商品が別ですので、他の金融機関と比較しなければ負担が増える可能性があります。

分かりにくい「直営店」と「FC店」の違い

ARUHIには「直営店」と「FC店」があります。FC店は、たとえば保険代理店がフラット35の取次店となっている店舗です。ここで先ほど説明した「保証型ならARUHIというロジックはある程度成立します」の「ある程度」としたことに触れていきます。

ARUHIの事務手数料は借入金額×2.0%(税別)が標準となっており、ネット完結の「ダイレクト」を利用すると、事務手数料が1.0%となります。しかしダイレクトを利用できるのは、一般のフラット35で、保証型では利用することができず、FC店で手続きする必要があります。金利が低く、事務手数料が1.0%であれば他の金融機関よりかなりお得なのですが、事務手数料は2.0%ですので、借入条件によっては買取型で事務手数料の低い金融機関の方がお得になる可能性もあります。

この事務手数料1.0%の差は「FC店」の儲けになる部分だと考えられます。このこと自体はいいのですが、「ARUHIはお得と勧められた⇒ネットで確認したら本当だった⇒ARUHIにした」というロジックや「保証型は選ばなかった⇒でもARUHIはお得でしょ?⇒ARUHIにした」というロジックだけでは、本当に負担の軽い商品を選べない可能性があります。確かにシミュレーションをして比較すると、ARUHIの総支払額は少ないことが多いですが、誰にでも当てはまるわけではありませんので、注意が必要です。

「直営店」と「FC店」のもう一つの違い

フラット35に決めている人にとってはあまり関係ありませんが、原則、「直営店」ではフラット35の取り扱いはありません。直営店で扱っているのは、他行の商品となります。最近は、他行の商品を扱うケースが見られ、複雑化しています。ARUHIの場合、住信SBIネット銀行、ソニー銀行、楽天銀行の商品を扱っていますが、一般的に「間にもう一社入れば」手数料が発生します。そのため、十分比較して検討しなければなりません。

条件によっては、他社の保証型の方がお得になることも

「ARUHIはお得と勧められた⇒ネットで確認したら本当だった⇒ARUHIにした」というロジックで選ぶことは、自ら「より負担の軽い住宅ローンを利用する」ことを放棄したことと同じです。たとえば、ハウスメーカーと提携で保証型が利用できる日本住宅ローンの場合、事務手数料は借入金額×1.42%となっており、適用金利はARUHIと同じです(おそらく、住宅金融支援機構が保証できる最低金利で、ARUHIも日本住宅ローンも最低金利を採用していると考えられます)。

そもそも物件価格が高いことなど総合的な判断が必要ですので、宅ローンのためだけにハウスメーカーを絞るのも危険です。ただ提携ハウスメーカーでも問題ないという人にとっては、選択肢の幅が広がります。無意識に選択肢を減らしてしまわないようにしなければなりません。

スーパーフラットは金利がかなり低いが、実は・・・

ARUHIの保証型は他の金融機関が扱うフラット(機構買取型)に比べ、金利が低いことが魅力です。さらに事務手数料が「融資金額×1%(税抜)」となっており、諸費用も低く設定されています。情報サイトでも「1%」が強調されて、第一候補にする人も多いでしょう。しかし商品を選ぶ際には、相談し、見積もりをもらい、契約直前まで油断はしない方が賢明です。契約直前でも再考する勇気が必要です。

スーパーフラットは頭金を購入価格の2割以上準備すれば利用できるフラット35(保証型)です。しかしスーパーフラットはweb完結の「ダイレクト」を利用できないため、事務手数料は2%(税抜)となり、基本的にFC店で手続きするしかありません(直営店では扱っていない)。

どこかの段階で、事務手数料1%は適用されないことに気づくと思いますが、契約直前に気づいたとしても、一旦持ち帰り、比較検討し直さなければなりません。契約直前になると、考えようとする意思が弱くなり、「それほど変わらないだろう」と根拠のない理由で選んでしまうことになります。

スーパーフラットの事務手数料が2%であることは、公式サイトを探すと分かるのですが、普通の人は気づかないと思います。住宅ローンの商品に限らず、様々な場面で見られますが、不利なことは積極的に、強調して説明せず、淡々と、重要であることを感じさせないよう説明します(あくまでも一般的な話です)。少しでも気になったことはその都度指摘しなければ、決して自分に合った商品選びはできないでしょう。

ARUHIから自分に合った商品の選び方を考える

ARUHIの商品は公式サイトを十分見ないと、仕組みが分からないため、ここで、ARUHIから自分に合った商品の選び方を紹介しておきます。

・条件が変われば、もう一度、比較検討する
 ※保証型から買取型は大きな変更
・申し込む窓口によって条件が異なる可能性あり
・ランキングや「安い」、「お得」というイメージに引きずられない

「ARUHIのフラット35は本当にお得なのか」まとめ

私も住宅ローンの特徴を調べる際には公式サイトを隅から隅まで読みますが、それでも理解できない場合があります。不明な点は直接電話で問い合わせていますが、この記事にはその際の情報も盛り込まれています。ある程度の知識を持っていても理解できない内容がありますので、これから住宅ローンの借入先を選ぼうとしている人は分からないことだらけではないでしょうか。

住宅ローンの賢い7つの選び方とワナ

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住宅ローンの相談を受けたときに、借入先の選択肢として金融機関公式サイトから情報を得て、分からない場合は問い合わせます。住宅ローン選びは正しい情報をもとに行わなければなりませんので、情報の信頼性は重要なポイントです。

そのため、金融機関公式サイト以外からの情報はほとんど参考にしませんが、まれに参考にする場合でも、そのサイトの根拠を必ず見つけます。また署名入りの記事についても、その内容がご相談者の考え方に合っているかどうかなど総合的に考えた上で、優先順位を決めています。

信頼性のある情報をもとに判断することは、自分に合った住宅ローンを選ぶ大前提となります。その上で、住宅ローンの賢い7つの選び方と7つのワナを解説していきます。

住宅ローンの選び方7つのポイント

私が住宅ローンを選ぶ際にポイントとしている7つのポイントを紹介いたします。どのような住宅ローンを選べばいいか、基本的にこれから紹介する7つのポイントをもとに判断しています。

大まかには優先順位の高いポイントから紹介していますが、住宅ローン選びで重要なポイントは「金利」「諸費用」「保障」で、「火災保険」と「特典」は参考程度となります。詳しくはそれぞれの項目をお読みください。

(1) 住宅ローンを「種類」で選ぶ

住宅ローンの種類には、公的住宅ローンと民間住宅ローンに分けられます。公的住宅ローンは、財形住宅貯蓄が代表的です。地方自治体によっては住宅ローンの補助制度がありますが、利用できる人は限定されています。そのため住宅ローンを選ぶ人の大部分は民間住宅ローンを選ぶことになります。

<住宅ローンの種類>
特徴
 公的住宅ローン ・民間住宅ローンより融資条件が緩やか
・財形制度の場合、導入している企業でしか利用できない
・固定金利型が中心
 民間住宅ローン ・住宅ローンの種類が豊富
・物件評価基準は公的住宅ローンより緩やか

ただ、住宅ローンの大部分を民間住宅ローンが占めていますので、住宅ローン選びにはあまり役に立ちません。そこで、住宅ローンの特徴で分けた住宅ローンの分類を紹介しておきます。

<住宅ローン選びの参考になる住宅ローンの種類>
特徴
 社内住宅ローン 大企業に多いですが、勤め先で住宅ローンの融資を受けられ、企業が一部の利息を負担している住宅ローンです。私のご相談者に限れば、東証一部上場企業にお勤めの人が利用しました。
 提携住宅ローン 住宅販売業者が窓口となり、提携している金融機関の住宅ローンを取り扱っています。一般で借り入れるより金利が優遇されています。
 財形融資 お勤めの企業で財形制度を導入している場合に利用できる公的住宅ローンです。
 都市銀行
 地方銀行
ネット銀行の住宅ローンと比べると、金利や諸費用は高めです。融資金利や保証料は審査によって決まります。
 ネット銀行等 ウェブ完結の住宅ローンを中心に取り扱うネット銀行や銀行以外の企業が取り扱う住宅ローンです。
金利や諸費用など、比較的負担が軽くなっています。

勤務先との提携住宅ローンを利用できる人は限定的ですが、利用できる人は優先的に調べて、借入条件を確認してください。

(2) 住宅ローンを「金利タイプ」で選ぶ

住宅ローン選びで最初に決めておきたいのが金利タイプです。金利タイプは、変動金利型、全期間固定金利型、固定金利期間選択型の3つが基本です。フラット35は全期間固定金利型に該当し、変動金利型と固定金利型の両方で借り入れをするミックス型もあります。それぞれの金利タイプの特徴は次のとおりです。

<金利タイプの特徴>
特徴
 変動金利型 返済期間中に金利が変動するため、返済額が増えることがありますが、問題はどの程度の上昇まで許容範囲かを試算しておくことです。借り入れ直後の金利上昇でなければ、金利上昇リスクは意外と受け入れられる可能性があるため、検討する価値があります。
 全期間固定金利型 借入期間中、金利が一定である金利タイプです。フラット35が代表的ですが、都市銀行など一部の民間金融機関でも取り扱っています。
 固定金利期間選択型 主に2年~10年の間だけ固定金利型で、期間終了後に再び金利タイプを選びます。期間終了後の金利水準で決定するため、金利タイプ切り替え時に金利が上昇する可能性があります。10年固定金利型の場合、10年後の借入残高が十分減少していれば、金利上昇により利息負担額は軽減できるため、借入前にシミュレーションして、確認しておくといいでしょう。

ここで紹介した特徴は一般的なものであり、住宅ローンを選ぶポイントにしてしまうと間違った判断をしてしまう可能性があります。住宅ローンの金利タイプを選ぶ方法やポイントは次のとおりです。
・借入金額を増やすために変動金利型を選ばない。
・毎月の返済額を減らすために変動金利型を選ばない。
・子育て世代(返済額が一定で安心である)という理由だけで固定金利型を選ばない。
・変動金利型は金利が上昇したと仮定したシミュレーションをして、家計への負担を確認する。
・借入条件や家族の方針、考え方を聞かれる前に変動金利型や全期間固定金利型を勧めてくる人は信じるな(特定の住宅ローンを売りたいだけの可能性あり)。

(3) 住宅ローンを「返済方法」で選ぶ

住宅ローンの返済方法には、元利均等返済と元金均等返済があります。ネット銀行等を中心に元利均等返済しか扱っていない金融機関が多いため、自由に選択できない可能性はあります。総返済額をできる限り少なくしたい人にとっては元金均等返済がお勧めですが、そもそも取り扱っていない可能性もあり、元金均等返済を取り扱っている金融機関を軸に住宅ローン選びをすると、金利や諸費用など他の負担が増え、結果的に総返済額が増えることもあります。

そのため、金利や諸費用、保障を中心に金融機関を絞り込み、最終的な借入先で返済方法を選べる場合に検討しましょう。

ただ実際にシミュレーションして、どの程度差がでるのか確認した方が正しく判断できますので、一度、予定している借入条件で2つの返済方法の違いを確認するといいでしょう。

(4) 住宅ローンを「諸費用」で選ぶ

住宅ローンの諸費用には金融機関によって差がつく費用とあまり大差はつかない費用があります。登記費用や不動産取得税、司法書士への報酬など差がつかない費用は比較の際には省き、差がつきやすい「事務手数料」や「保証料」で比較します。

都市銀行や地方銀行は保証料メインで、ネット銀行等は事務手数料がメインですので、「保証料0円」とあっても、事務手数料で同額がかかる場合があり、比較する際には注意が必要です。

事務手数料は、固定の金融機関と「融資金額✕一定割合」とする金融機関があります。後者は融資金額が多いと費用が増えますので、一概にどちらがいいかはわかりません。

一方、保証料は融資金額と審査によって変わります。借入金額が多い場合、事務手数料は固定の方が負担は減りますので、どちらがいいかは借入条件によって異なります。

諸費用は住宅ローンの負担をできる限り減らしたいのであれば、必ず試算して確認しましょう。

(5) 住宅ローンを「保障」で選ぶ

「保障」は団体信用生命保険による保障内容のことです。契約者が死亡したり、所定の高度障害になったりするとその時点で住宅ローンの返済が免除される保障が従来からある団信保険で、一般団信と呼ばれています。この一般団信に所定のがん・心筋梗塞・脳卒中になると返済免除となる三大疾病保障付き団信もあります。一般団信と三大疾病保障付き団信は保険料無料(金利上乗せなし)の金融機関がほとんどです。

最近の団信は、全疾病保障付き団信まで保障内容が拡大しており、保険料無料の金融機関もあります。

保障を充実させる場合、金利に上乗せする形で保険料がかかる金融機関もあります。金利が変動する要因ですので、団信の保障を充実させる必要があるか決めてからシミュレーションしなければなりません。保障内容を充実させるかどうかのポイントは次のとおりです。
・すでに加入している保険で十分。
・すでに加入している保険を考えても保障内容を充実させたい。
・保障は充実させたいが、一般の保険も検討する。
「金利上乗せなし」の範囲内で選択する考え方もありますが、これだと負担を減らしたいだけで、家庭のリスクについて考えていないことになります。あくまでも今加入している保険を見直した上で、団信の保障内容を決定するのが原則です。

(6) 住宅ローンを「火災保険」で選ぶ

住宅ローンの利用することで火災保険料を割引する金融機関があります。地震保険も火災保険と同時に加入することができますが、少なくとも住宅ローンが完済するまで火災保険に加入することが条件となっています。

火災保険は必ずしも借入先から加入する必要はありません。火災保険料の割引があっても、元々保険料が高い可能性もあります。実際に、同じ保障内容でも40万円の差があったご相談者もいらっしゃいましたので、軽く見ることはできないのではないでしょうか。

火災保険料の割引があると選択肢は増えますが、基本的には自分で探して契約する方法で考えておきましょう。金融機関のサイトで火災保険料の割引を強調していたとしても、メリットになるかどうかわかりませんので、住宅ローンを選ぶ際のポイントにはなりにくいと考えています。火災保険料については金額を比較した方が確実ですので、物件が決まり次第、複数の保険会社に見積もりを依頼しましょう。

(7) 住宅ローンを「特典」で選ぶ

住宅ローンの特典に力を入れている金融機関もあります。住宅ローンを扱っているのは銀行だけではありませんので、イオン銀行のように買い物に特典をつけたり、楽天銀行のように楽天市場で利用できるポイントがついたりと様々です。

特典を売りにしている金融機関がありますが、金利や諸費用の差を埋めるほどの特典はほとんどありません。特典を比較する際には、できるだけ具体的な金額を出しますが、特典を中心に住宅ローンを選ぶ人は少ないのではないでしょうか。

住宅ローンを選ぶときの特典の扱いは、借入先を絞り込む際に金利や諸費用などで差がないときで構わないでしょう。

住宅ローンの選び方7つのワナ

住宅ローンの選び方7つのポイントを解説しましたが、住宅ローンを選ぶ際に注意しておきたい点も紹介しておきます。先ほどの7つのポイントだけでは自分に合った住宅ローンを選ぶのは難しいので、この注意点も参考にしてください。

(1) 住宅ローンを「金融機関サイト」で選ぶ

各金融サイトの住宅ローンのページを見ると分かりますが、金利を強調している金融機関、保証料0を強調している金融機関、団信の保障内容を強調している金融機関など様々です。

金融機関サイトで強調している内容は必ずしもメリットにはなりません。たとえば「保証料0円」と大きく書いてあったとしても、「保証料0円」は珍しいことではなく、保証料ではなく事務手数料がかかります。同じく「一部繰り上げ返済手数料無料」とあってもほとんどの金融機関では無料です。

サイト上で目立つ内容だけをポイントにしてはいけません。金融機関のサイトが最も信頼性の高い情報源ですが、調べる際には、先ほどの7つのポイントを探すために訪問します。すぐに得するかどうかだけを探そうとせず、まずは基本的な情報を収集し、比較する準備をしましょう。

(2) 住宅ローンを「ランキング」で選ぶ

金融機関のサイト以外で、住宅ローンのランキングを掲載しているサイトがあります。他の人と同じ金融機関で借りたい、住宅ローンを選ぶ時間がないからランキング上位の金融機関でいいという人はいいですが、自分に合った住宅ローンを選びたい人はあまり参考になりません。

金利は、借入金額や返済期間、金利タイプ、手数料タイプなど様々な借入条件によって異なります。都市銀行など審査によって金利が異なる場合もありますので、ランキングで選ぶのは危険です。

ただランキングは調べる優先順位として活用することができます。複数のランキングサイトから上位の金融機関をピックアップし、その金融機関のサイトを訪問し、情報を収集します。

(3) 住宅ローンを「専門家ブログ」で選ぶ

住宅ローンについて解説しているファイナンシャルプランナーなどの専門家ブログがあります。基本的には署名入りの記事は参考になりますが、その内容が当てはまるかどうかは分かりません。

住宅ローンは、収入や年齢、ご家庭の考え方などによって選び方は異なりますので、説得力のある記事であっても当てはまらない場合があります。

(4) 住宅ローンを「増税前後」で選ぶ

住宅購入(建築)は、消費税など増税前に駆け込み需要があります。消費税の場合、土地は非課税ですが、建物には消費税が課せられます。建物2,000万円で、2%の増税であれば、40万円負担が増えることになります。

ただ住宅建築の時期が重なると人手や建築材料が不足し、建築価格が上昇することもあります。どの程度上昇するか見えにくいですが、その地域の不動産会社に問い合わせ、増税前後で物件価格に変動があるかどうか聞いてみるのもいいでしょう。

(5) 住宅ローンを「控除額」で選ぶ

住宅ローンを利用して一定の要件を満たせば、住宅ローン控除を適用し、所得税(住民税)の還付金を受け取ることができます。還付金の額が数十万円になることはよくあるため、上手に利用したい制度です。

たとえば共働き世帯の場合、借入金額の半分ずつを借り入れ、双方が住宅ローン控除を適用できれば、より多くの還付金を受け取れる可能性があります。

住宅購入費(建築費)の負担割合に応じて登記簿上の持分割合を合わせる必要があり、また万一離婚した場合にどのように分けるか課題になることがありますので、注意点を十分に確認してから借入方法を決めましょう。

(6) 住宅ローンを「住宅ローン」で選ぶ

住宅ローンを「住宅ローン」だけで選んでいないでしょうか。特に借入金額ですが、住宅ローンを選ぶ際の基礎となるのは将来の家計の分析です。家計の状況は個々に異なりますので、サイトで検索しても住宅ローンの情報ばかりで、家計との関連はあまり出てきません。

住宅ローンの特徴や比較にこだわりすぎて、住宅ローン商品の特性だけで選んでしまうと、根本的に家計に負担のある借り入れになっている可能性もあります。住宅取得は、少なくとも返済期間中の他の支出を予想し、無理のない返済をすることが前提です。

(7) 住宅ローンを「担当者」で選ぶ

返済負担のできるだけ軽い住宅ローンを選びたい人向けですが、住宅ローンを選ぶ際に絞り切れず、担当者のオススメやネットの情報で決めてしまわないようにしましょう。

ネット完結の住宅ローンのみしか扱っていない金融機関の場合、金融機関のサイト情報をよく読み、必要であれば問い合わせて不明な点を解決することになります。直接会って相談するのとは違い、勘違いしたまま手続きを進めてしまうことがあるかもしれません。

サイトに書かれていることも、一つひとつ確認し、必ず見積書で回答通りか照らし合わせましょう。最近は他行の住宅ローン商品を取り扱う金融機関が増えており、別の会社(フランチャイズ店)を案内される可能性もあり、住宅ローン選びが難しくなっています。

住宅ローン選びはご家庭で自ら何度もシミュレーションをして比較検討することが最も重要です。慣れないうちは時間がかかりますが、慣れてくれば住宅ローンのポイントが理解できるようになりますので、自分に合った住宅ローンを見つけるまで比較検討を繰り返しましょう。

まとめ

住宅ローンの選び方は正しく情報を把握することから始まります。シミュレーションは慣れるまで少し時間がかかり、大変ですが、できる限りご自分で納得できるまで住宅ローンを理解するために試算しましょう。そもそもサイトの情報がすべてではありませんので、借入先を3~5行ほどまで絞り込んだら、金融機関を訪問して直接相談しましょう。サイトに書かれていないお得な借入条件になるかもしれません。