子供の学習費調査の活用方法を考える
キャッシュフロー表を作成する際、文科省が発表する子供の学習費調査を活用します。調査結果のexcelデータを見るとデータの様子を伺うことができます。保険代理店など商品販売をメインとしているFPがキャッシュフロー表を作成するサービスを提供していますが、商品説明に時間を費やすため、あまりキャッシュフロー表の作成に時間をかけることはできません。そのため、子供の学習費調査に限らず、データをそのまま貼り付けたキャッシュフロー表を判断材料としていますが、全国平均を使用することで現実的な数値とかけ離れてしまうこともあります。
もともとキャッシュフロー表自体、将来の予測値を多く含んだ資料ですので、できる限り、個々のお客様の状況に合わせたキャッシュフロー表を作成することで、将来の家計を映し出す資料に近づけたいと考えています。ただ、そう言っても、定期的な確認は必要となりますので、ご注意ください。
標準誤差率の活用
調査結果のexcelデータ上部に標準誤差率が記載されています。標準誤差率は、「標準誤差率(%)=標準誤差/推計値x100」で求めます。
・学習費総額の標準誤差率は,
公立小学校の各学年では2.58%~6.43%,人口規模別では2.61%~10.84%。
私立小学校の各学年では1.48%~1.65%。
・学校教育費の標準誤差率は,
公立小学校の各学年では1.79%~4.44%,人口規模別では2.87%~4.17%。
私立小学校の各学年では1.43%~1.58%。
・学校給食費の標準誤差率は,
公立小学校の各学年では0.9%~2.73%,人口規模別では1.59%~5.07%。
私立小学校の各学年では4.57%~4.72%。
・学校外活動費の標準誤差率は,
公立小学校の各学年では4.16%~8.5%,人口規模別では4.64%~13.82%。
私立小学校の各学年では2.64%~3.03%。
データ上は標準誤差率の範囲しか記載されていませんが、文科省に確認したところ、人口規模別なら人口が多いほど標準誤差率は大きくなるとのことでした。そこで公立小学校の人口規模別の標準誤差率で最大値は10.84%ですので、これを指定都市・特別区の標準誤差率と考えますと、標準誤差は次ようになります。
標準誤差=409,694(円)×0.1084=44,411(円)
指定都市・特別区の真の学習費の値は、約95%の確率で、次の幅のなかにあることがわかります。
・409,694-2×44,411=320,872(円)
・409,694+2×44,411=498,516(円)
⇒ 320,872(円)~498,516(円)
公立小学校の全国平均(322,310円)で6年間の学習費を計上した場合、322,310×6=1,933,860(円)、標準誤差を加味し、範囲の最大値で計上した場合は、498,516×6=2,991,096(円)
となり、100万程の差が生まれることになります。
個人差が大きくなる学校外活動費
所在市町村の人口規模別の学習費を見ると、学校教育費は指定都市・特別区の方が人口5万人未満など人口が少ない市町村に比べ、少なくなっています。特に生徒会費や学用品・実験実習材料費が少ないため、人口が多い方が負担の軽くなる費用だと思われます(規模の経済性)。一方、学校外活動費は人口5万人未満の市町村に比べ、指定都市・特別区は2倍以上かかっていますので、学習塾や習い事などにかける費用が大きいことがわかります。小学生のうちは学習塾より習い事の方が多いですが、都市圏の場合、私立中学校への進学も考えられますので、小学4年生から塾に通わせるご家庭とそうでないご家庭との差が開き、ご家庭ごとの方針を聞いた上でキャッシュフロー表を作成しないと大きな誤差が生まれることになります。ちなみに、子供の学習費調査では、支出がゼロのご家庭も平均に含まれますので、注意が必要です。
キャッシュフロー表にどの数値を計上するか
私は埼玉県を拠点としているため、指定都市や特別区にお住いの方からのご相談も多くあります。そのため、どちらかと言えば、人口は多い方ですので、学習費の差が生まれやすい環境と考えています。特に学校外活動費については差が出ますので、キャッシュフロー表を作成する際に、進路方針を確認させていただきます。
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