自分に合った保険の選び方

選択肢
自分に合った金融商品の選び方

保険の選び方

保険にはさまざまな種類があります。私自身、生損保約30社の商品を販売していた経験がありますが、そもそも販売していたとしてもすべての商品を把握していたわけではありません。競争力に乏しい商品を含めると無数の商品が販売されているためです。情報に触れる際には、ネット情報など一部の情報で保険について判断している可能性があることを念頭に置く必要があります。

保険を募集する人は保険募集人とよばれ、保険会社の仲介役として商品内容の説明や契約などの事務手続きをします。保険を選ぶ際には、相談した保険募集人の経験や知識、所属する保険代理店の方向性に影響される可能性はあります。実際に一部の保険募集人による不当な販売を耳にすると、保険募集人に対して疑い深くなるのもうなずけます。

しかし保険について知識が豊富な人は保険募集人をおいてほかにいません。保険募集人からいかに有益な情報を引き出し、自分に合った商品を見つけるかがポイントとなります。

そもそも保険は必要か?

保険を考える際、そもそも保険が必要かどうかで悩まれている人もいらっしゃるでしょう。全く保険に加入しないと決めている人は保険の情報を得ようとはしないかもしれませんが、必要かどうかを考えることは大切です。保険の種類によっても必要かどうかは変わります。また「資金面で余裕でも保険に加入しない人」と「資金面で余裕がないので保険に加入しない人」では考え方が異なります。

保険が必要かどうか(保険でリスクに対応するかどうか)は一般的に家計の状況が影響します。高収入の人は保険料の負担は比較的軽くなりますが、そもそも予備資金があるため、保険に加入する必要性を感じないかもしれません。この点を考えるだけでも、状況の異なる他人の考え方をそのまま採用することはリスクであることがわかります

保険に加入するかどうかは、毎月支払える保険料の範囲、保険で対応すべきリスクの優先順位などで決めます。優先順位は新婚家庭やシングル、退職間近などライフステージによって変化するものでもあります。加えて抱えるリスクはさまざまで、すべて保険で対応することはできません。限られた予算内でどのリスクに対して保険を活用するかを考えるしかありません。

<考えられるリスク>

  • 病気による治療費負担・収入減少
  • ケガによる治療費負担・収入減少
  • 火災や地震による建物や家財の損害
  • 自動車事故による法律上の損害賠償責任
  • 日常生活における法律上の損害賠償責任
  • 死亡による収入減少・支出の負担
  • 長生きによる生活費の不足

リスクへの対応は保険だけではありません。たとえば自動車に乗らなければ自動車保険に加入せずに済み、保険料の負担は軽減します。ふだんから食生活に気を付け、適度な運動を心がければ、病気になる可能性は抑えられるかもしれません。また発生確率の極端に低いリスク、発生しても現金で対応できるリスクについては優先順位を下げる方法もあります。

いずれにしても、予算の範囲内で優先度の高いリスクから保険を活用することになります。

保険について詳しい人は誰か?

繰り返しになりますが、保険について詳しく正確な情報を持っている人は、保険会社や保険代理店(保険募集人)です。保険会社や保険代理店に相談すると手数料目的で保険を勧められるのではないかという心配される人もいらっしゃると思いますが、それでも情報源は保険会社や保険代理店(保険募集人)です。できる限り経験や知識な豊富な保険募集人から情報収集するようにします。

保険に対する考え方は人それぞれ

保険に対する考え方はさまざまです。保険料を支払わなければなりませんので、保険料に見合う給付金や保険金を受け取れるか、得かどうかで判断する人もいらっしゃるでしょう。保険はそもそも多くの人が資金を出し合い、困っている人に資金を融通する仕組みですので、いわゆる「損」をする人は必ず出ます。ただ保険会社によっては経費がかかってしまい、契約者や被保険者に資金が回りにくい仕組みになる場合もあるでしょう。その点では比較検討して自分に合った商品を選択していく必要があります。

保険を選ぶ前に知っておきたいこと

保険の知識ももちろん必要ですが、ここでは商品の知識ではなく、保険選びに影響を及ぼす業界の状況について解説していきます。

保険選びは良き相談相手を探すこと

保険に加入する際、どこに相談するか、相談先の選択から始まります。保険の商品に詳しくなくても基本的には説明を受け判断することになります。良き相談相手に巡り合うかが最も重要であると言っても過言ではありません。信用できる募集人から加入するほうが安心でしょう。ただ基本的にどの募集人も説得力があると考えておかなければなりません。つまり信頼できる募集人と言っても、本当に信頼できるどうかを判断するのは難しいでしょう。また良き相談相手を見つけたとしても、常にその状態が続くとは限りません。

保険商品の知識だけでなく、判断材料を集めること

良き相談相手を探すことも重要ですが、相談相手が良いか悪いかを判断するための材料が必要です。相手は保険のプロですし、知識ではかないません。そのため、相談してプロの意見を参考にすることは重要です。しかし相手のお勧めする商品にそのまま加入してしまうと後悔する可能性も捨てきれません。

そこでポイントとなるのが判断材料です。相手が持たない資料として、家計の情報があります。あらかじめ予算を決めておき、その範囲内で加入することにしておけば、保険料の支払いが負担になる可能性は小さくなります。ただ家計の詳細を見せてしまうと、判断材料の一つを失うことになるかもしれませんので、注意が必要です。

次に保険加入の根拠となるデータです。商品パンフレットや募集人が示すデータは加工後の資料で、一部です。嘘は書かれていませんが、物事の一面しか表していないかもしれません。自分に合った商品を選ぶためには与えられた資料だけでなく、自分で集めたデータも判断材料に加え、検討しましょう。

現在、契約書の電子化が進んでおり、タブレットやネットで契約を結ぶ機会が増えています。保険商品もネットだけで契約できる商品が増えてくるでしょう。ネットは便利ですが、保険料が安くても必要のない保険に加入したり、保障が不足していたりする可能性もあります。実際に支払う保険料が安くても、自分に合っていなければ無駄となります。もちろん、保険商品を理解し、比較検討して選択できる人は保険料を安くすることができます。直接、募集人から説明を受けなくても自分に合った商品を選べるでしょうか。「直接説明を受けたほうが余計な保険に入らされる」と感じる人もいらっしゃると思いますが、いずれにしても保険の知識と判断材料は必要となるでしょう。

判断材料にならないもの

保険を選ぶにあたり、判断材料にならないものもあります。状況にもよりますが、一般的に次のようなものは判断材料にならない、もしくはなりにくいものです。

・お勧めを聞いたときの回答
・最も売れている商品または最近人気の商品
・募集人が加入している商品

保険に加入する窓口

多くの人はどの販売ルートから保険に加入しても同じだと考えているでしょう。しかしペットネーム(保険の商品名)が同じでも保険料が異なることがあります。最近では、「ネット用」「銀行用」と書かれているパンフレットが目に付きます。これは保険会社が支払う手数料が関係しています。保険会社が自社の商品を直接販売する場合と、代理店経由で販売する場合とでは、代理店経由のほうが費用はかかります。これが代理店手数料です。代理店経由で加入するケースが多く、保険会社もあらかじめ代理店への手数料支払い分も計上して保険料を設定します。ただ市場にあるどの商品よりも保険料を安くするため、代理店を通せない(手数料を支払えない)商品もあります。基本的に自分に合った商品を選ぶためには保険商品を比較しなければならず、複数の保険会社の商品を取り扱う代理店(乗合代理店)に相談することをお勧めしますが、保険会社が直接販売する商品も確認しておくといいでしょう。販売ルートとして次のようなものがあります。

  • 乗合代理店(店舗型・ネット型)
  • 金融機関
  • 保険会社直販

乗合代理店は、ショッピングモールなどで店舗を構える店舗型とネットを中心に集客しているネット型に分かれますが、基本的には複数の保険会社の商品を扱う乗合代理店です。また金融機関も乗合代理店ですが、取り扱っている商品は限定的です。複数の保険会社の限られた商品だけを販売しているため、一般の乗合代理店とは少々異なります。ただ金融機関の商品がダメだというわけではありません。金融機関用の商品を販売していたり、結果的に選ばれやすい商品を扱っていたりするためです。最後に保険会社直販ですが、代理店だけでなく保険会社のサイトも確認するようにしましょう。ネット検索すると基本的に保険会社の公式サイトが表示されますが、なかには代理店のサイトの場合もあります。公式かどうかの確認もしておきましょう。

保険の種類

生命保険と損害保険、第三分野の医療保険を合わせると、数多くの種類があります。基本的に個人や家庭がかかえるリスクすべてを保険で準備するのは難しいため、優先順位を付ける必要があります。ここではどのような種類があるか確認し、そのうち、どれが必要か考える土台にしましょう。

死亡保険

死亡保険は、被保険者が亡くなったときや所定の高度障害状態になった時に、保険金が受け取れる保険です。掛捨型や貯蓄性のあるタイプのほか、運用重視の外貨建て保険など様々あります。

定期保険・収入保障保険

定期保険は、たとえば契約から15年のうちに死亡した場合に死亡保険金が受け取れるが、何もなければ解約返戻金や満期保険金がない掛捨型の死亡保障です。「15年」は商品によって期間が異なりますが、15年後に更新すれば継続でき、その時の年齢が基準となるため、保険料は上がります。定期保険は保険金を1,000万円に設定すれば期間中はずっと1,000万円の保障となります。一方、定期保険の一種である収入保障保険は、保険金を年金形式で受け取れるタイプで、満期に近づくほど受け取れる総額は少なくなります。定期保険が長方形なら、収入保障保険は右下がりの三角形です。基本的に必要保障額は年々減少しますので、無駄が少なくなり、保険料も安くなります。

終身保険・低解約返戻金型終身保険

終身保険は契約を継続している限り一生、死亡保障が続き、保険料支払終了後など解約するタイミングによって、支払った保険料よりも多く解約返戻金を受け取れるため、貯蓄性のあるタイプとなります。一方、低解約返戻金型終身保険は、保険料支払期間中の解約返戻金を、一般の終身保険の70%程度にする反面、保険料支払終了後の解約返戻金は一般の終身保険と同じとなるため、保険料を継続して支払うことができれば一般の終身保険より解約返戻率(解約返戻金÷既払保険料総額×100)は高くなります。

変額終身保険

変額終身保険は、保障内容は終身保険と同じですが、金額が変額するという特徴があります。死亡保険金は最低保証されているものの、解約返戻金に最低保証はなく、運用次第では保険料総額の方が高くなることもあります。

外貨建て終身保険

外貨建て終身保険は、保障内容は終身保険と同じですが、外貨建てなので、為替変動の影響を受けます。一般の終身保険は円建てですが、外貨建て終身保険は一般的に積立利率の高さに魅力があります。

医療保険

医療保険はがんを含め、様々な病気やケガで入院、手術をしたときに給付金を受けられる保険です。

日額型

医療保険の日額型は、60日型や120日型などがあり、1日5,000円など1日当たりの金額をベースに契約する医療保険です。手術給付金が日額の20倍など日額をベースになっていることが多いため、手術給付金の額にも影響します。日額型は基本的に生命保険会社の商品です。

実費補償型

実費補償型の医療保険は、契約時に定めた金額で給付されるのではなく、実際に支払った金額が補償される医療保険です。窓口負担の全額が補償されるため、保険としては最も安心できると言えますが、高齢になるほど病院を利用する可能性があるため、保険料は日額型と比べてかなり高くなります。実費補償型は基本的に損害保険会社の商品です。

がん保険

がん保険はがんに特化した医療保険で、入院日数や手術日数に制限がないのが一般的です。また契約から90日間は免責期間となり、がんと診断されても保障の対象外となりますが、契約時から保障される商品もあります。現在では様々な種類のがん保険が販売されています。

日額型

1日1万円など、日額ベースで決めます。近年は入院日数が短くなっていることから、がん診断給付金のみ加入できる商品もあります。入院日額は入院しなければ給付されないため、入院日数の短期化がみられる現在ではがん診断給付金のみで使い方が自由な方が使い勝手はいい。

実費補償型

実費補償型は実際にかかった費用を補償する保険で、損害保険会社の商品です。医療保険と同様、高齢になるほど保険料が高くなるため、商品性はいいが、加入するとなると悩んでしまうかもしれません。

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