自分に合った住宅ローンの選び方

選択肢
自分に合った金融商品の選び方

自分に合った住宅ローン選びの条件を明確にする

住宅ローンの借入先を選ぶ際、何を優先するかによって、選び方は異なります。金利の低さや諸費用の安さを重点に置く情報サイトは多く見られますが、負担が軽ければ他はどのような条件でも良いという人は少ないのではないでしょうか。そこで住宅ローンの借入先を選ぶ際の条件を明確にすることから考えます。

住宅ローンを選ぶ際に優先すべき条件

ほとんどの人は、できる限り金利が低く、諸費用の安い金融機関を希望すると思います。条件が良ければ、同じ借入金額でも住宅ローンの返済負担は軽減されますので、「低い金利・安い諸費用」は最優先すべき条件でしょう。しかし住宅ローンの借り入れには、借入条件がありますので、誰でも「低い金利・安い諸費用」で借りられるわけではありません。そこで条件に加わるのが、「融資してもらえる金融機関」です。

一般的に「低い金利・安い諸費用」など条件が有利なほど、融資基準は厳しくなります。そこで妥協しながら「融資してもらえる金融機関」を探しますが、「融資してもらえる金融機関」にこだわりすぎると、「低い金利・安い諸費用」という最優先すべき条件から遠く離れてしまう可能性があります。ここで考えなければならない点は、「金利や諸費用が期待していたより高い」条件でも「融資してもらえる金融機関」を優先するかどうかです。

金利や諸費用について、どこまで妥協できるかは、収支状況や考え方によって変わるため、ここで結論を出すことはできません。最終的に住宅ローンのシミュレーションをして、余裕のある返済額になっているかどうかで判断することになるでしょう。ただ条件を明確にすることで、納得できる借入先選びになることはあります。「低い金利・安い諸費用」、「融資してもらえる金融機関」以外の条件についても挙げておきます。

  • 低い金利・安い諸費用などの借入条件
  • 融資してもらえる(融資基準を満たす)金融機関
  • 勤め先で借りられる住宅ローン(福利厚生)
  • 不動産販売会社と提携している金融機関
  • 勤め先の金融機関のみ(ほかを選びにくい状況)

自分に合った住宅ローンの選び方・手順

優先すべき条件を考えると、自由に選べない、条件が限られている人もいます。たとえば銀行にお勤めの人の場合、ほかの金融機関を選ぶことは難しいでしょう。また「借入先を吟味すれば負担が軽くなることを知らない」「時間がない、探すのが面倒くさいなどの理由で紹介された借入先で十分」という人も一定数いらっしゃると思います。「時間をお金で買う」「ほかの支出で調整する」など優先順位は人それぞれですので、基本的には個々の価値観で選択すればよいと思います。さてこのようなケースを除き、極力有利な条件で借り入れたい人向けに、どのようにすれば自分に合った住宅ローンを選べるか、その手順を紹介します。

自分に合った住宅ローン選びの最終目標

<借入先を選定するための基準>

  • 仮審査に申し込む金融機関を3行ほどに絞り込む
  • 総支払額が少ない金融機関:1~2行
  • 総支払額が妥協できる範囲の金融機関:1~2行

借入先を絞り込む際には、先入観を捨て、自分で確認した情報のみをもとにすることです。たとえば「ネット銀行はお得」「不動産販売会社が提携する借入先はお得」などの情報にとらわれ、はなから選択肢を狭めないように注意しましょう。

住宅ローンの情報を集めるなかで、年収の割に借入金額が少ない人は総支払額が少ない金融機関のみでも構わないでしょう。ここで仮審査までに3行に絞っている(3行ほど残している)のは、審査などで希望通り借りられなかった場合に備えるためです。金利や諸費用だけで選ぶと審査結果は変わらない可能性がありますので、総支払額以外の選考理由でも選んでおきましょう。

借入条件の理想

住宅ローンの負担を減らすためには、商品の比較のほかに、借入条件を有利にすることも重要です。次に挙げる条件を満たせないほど、返済の負担は大きくなります。

  • 返済期間を短くする(20年未満など)
  • 融資率を下げる(価格の1割~2割程度の頭金を準備)

これらは早めに住宅取得のための資金準備をしておかなければならず、住宅探しを始めてからでは遅いため、理想としています。無理のない借り入れほど有利になる金融機関がありますので、準備が十分であるほど家計への負担は軽減できます。一生で稼げるお金は限られていることを考えると、できる限り有利な条件で借りたいところです。

準備をしてこなかった人が無理して条件を満たそうとすると逆に家計への負担が大きくなることがあります。1年や2年程度の準備期間では対応できない借入条件はあきらめるしかありません。

また住宅取得までに十分な準備期間が必要です。慌てて購入(建築)すると十分な検討ができず、不要な負担を強いられるかもしれません。不動産取引でトラブルになる可能性もあります。初めての住宅だからこそ、必要となる知識や情報を収集し、無理のない借り入れをしたいものです。

住宅ローンを選ぶ3つのステップ

住宅ローンの選び方で悩んでいる人は、借入先を絞るにあたり、不足している点があると考えています。金融機関に相談する前に、「不足点」を補う必要があるでしょう。住宅ローンを選ぶにあたり必要なことは、「知識の習得(情報収集)」「商品性の理解」「判断材料の収集」の3つです。知識の習得と商品性の理解は商品を絞り込む際に必要な情報で、いずれかが不足していると納得できる判断ができなくなります。「知識(情報)」と「判断材料」をもとに借入先の比較検討をし、絞り込みを行います。

  • 必要最低限の知識を身に付ける。
  • 判断材料をできるだけ収集する。
  • 比較検討して絞り込む。

商品を比較検討する前に、この3点について理解し、商品を選びやすくしておく必要があります。3つのステップを解説する前に、重要な要素である「知識と情報」、「比較と検討」について紹介しておきます。

比較と検討

脚色のない情報と客観的な知識があれば、正しく比較と検討ができます。比較検討する際には、正しい商品知識と十分な判断材料が必要です。簡単にポイントをまとめておきます。

  • これまで取得した情報と知識が正しいか確認する
  • 新たに得た情報や知識が正しいか確認する
  • 相談で良い商品を勧められても条件が変われば比較と検討をやり直す
  • ネット情報から必要な情報を判断材料として抜き出す
  • 相談した内容にもとづいて行動する場合、ひと呼吸おく
  • 比較と検討がしにくければ、さらなる判断材料を探す
  • 必ずしも安ければいいというわけではない

選択肢を絞る

選択肢を絞る際にも、十分な注意が必要です。これまで得た情報や身に付けた知識が正しくなければ、自分に合った商品を排除してしまう可能性があるためです。

  • 選択肢から外す際、理由付けをする
  • 物事を鵜呑みにしない
  • 3つ程度までに絞り込む
  • 絞り込んだ選択肢のデメリットを徹底的に探す

STEP1 知識を身に付ける

借入先は、ある程度の知識があると絞り込みやすくなります。知識は少しずつ身に付けるものですので、住宅探しや借入先候補の絞り込みをしている途中でも知らないことは出てくるでしょう。知識には各金融機関の住宅ローンの特徴を知ること、金利や手数料体系などの情報が含まれます。

可能な限り借入先候補を挙げる

自分に合った借入先を選ぶ際にまず避けたいことは、先入観で商品を絞り込んでしまうことです。ご自宅や転居予定の地域にどのような金融機関があるかピックアップします。また住宅ローンには審査がありますので、必ずしも希望通りの総支払額の少ない金融機関で借り入れられるとは限りません。選択肢を狭めないためにもまずは幅広く探しましょう。

  • 都市銀行
  • 地方銀行
  • ネット銀行等
  • JA
  • 労金
  • 共済
  • 勤務先で提携している銀行
  • 企業が提携している銀行

STEP2 判断材料を集める

判断材料は、得た知識(情報)をもとに自分に合った住宅ローンを見つけるためのものです。

ある程度の知識はネット上で得ることができます。知識は借入先を探している間にも得ることができるでしょう。ただ数多くある情報のなかには偏った情報もあります。多くの情報発信者は「販売者側」であるためです。基本的にこのような情報発信がダメだとは考えておりません。特定の商品を勧めないように配慮しているサイトが多い印象です。ただどの情報を信じ、どの情報がご自身に合っているかを見極める必要があります。

これから借入先を探そうとしている人が重視すべきことは客観的な判断材料を十分に集めることです。どちらか「迷う」場合、判断材料が不足している可能性があります。

判断材料は大きく分けて、内情報と外情報があります。内情報は家計の現状と将来の予測です。外情報は借入先の情報、金利の動き、税制などです。住宅ローンの仕組みを理解するために、外情報を中心に情報を求めがちですが、将来の家計を把握しておかなければ、自分に合った商品を選ぶことはできません。たとえば、「借入先としてオススメはこの金融機関です」「このような人は固定金利がおすすめ」「この物件は今が買い時です」等、挙げると切りがありませんが、全て外情報のみの判断です。加えて、この外情報に販売者側の意図が含まれているため、正しい判断が難しくなっています。

ライフプランを作成する

住宅ローンを考えるとき、多くのかたが「こんなに借りて大丈夫か」と心配になるでしょう。そのような場合、「住宅は資産として残りますから大丈夫ですよ」「今買わないと同じような物件に巡り合わないかもしれませんよ」という言葉で購入や建築を決断するかたもいらっしゃるようですが、肝心の心配事は解消されていません。心配なかたほどライフプランを作成し、住宅ローンによる家計への影響を確認しましょう。ライフプラン作成による効果は次のとおりです。

ライフプランの作成で得られる効果

  • 家計に合った借入金額や毎月の返済額がわかる
  • 変動金利型か固定金利型かの選択がしやすくなる
  • 他の支出を考えたバランスの良いローンを組める

家計の状況による選択肢の違い

家計の状況によって、住宅ローンに対する考え方にどのような違いが生まれるか、一例を紹介します。

住宅ローンに限りませんが、高収入の人ほど、選べる選択肢は豊富です。たとえば住宅を一括で購入できる資金がある場合、「一括で支払う」「返済期間が20年以下になるよう頭金のみ支払う」「全額借り入れる」などの選択肢があります。低金利の住宅ローンであれば、あえて一括購入せず、その資金を運用することで、住宅ローンの金利と運用金利との差分を収益とすることができます。住宅ローン控除では最大控除額が受けられるように購入金額を調整することも可能です。

ほとんどの場合、一括で支払うことができないため、住宅ローンを利用します。そのため「全額借り入れる」か「購入代金の1~3割程度の頭金を支払う」などの選択肢に絞られます。このような場合、高収入の人の選択肢は参考になるでしょうか。

初見のインパクトに惑わされない

たとえば「一括で支払う」ことしか考えていなかった人が、「全額借り入れる」メリットを初めて知ると衝撃を受け、「全額借り入れる」が絶対的に素晴らしい選択肢だと感じるかもしれません。このような場合、ひと呼吸おいて、ネットで検索してみると同じような考え方を発信しているサイトはいくらでも見つかると思います(実際に探してませんが・・・)。

STEP3 候補を絞り込む

「知識(情報)」と「判断材料」が十分であれば、候補の絞り込みは難しくないでしょう。これまでの過程ですでに絞り込まれていると思います。

ここから借入先を絞り込みますが、住宅探しの最中に借入条件を変更することもありますので、最終決定ではありません。以降も柔軟に対応する必要があります。ただ借入条件の変更は欲しい物件の価格が予算オーバーだから行うのではなく、判断に必要な知識が欠けていたために借入先の絞り込みが不十分だった場合に行います。

また銀行と提携している企業は1部上場企業など一部の企業に勤めているかたに限られるでしょう。情報は早めに入手できると思いますので、シミュレーションをして利用するか判断します。不動産販売会社などが提携している金融機関は住宅探しを始めなければ判断することができません。個人で借りるより金利など優遇されることがありますが、元々の金利が高い可能性があります。

手間を省くと自分に合った住宅ローンを選べない可能性あり

自分に合った住宅ローン選びには、「知識(情報)」「判断材料」が必要で、これらをもとに借入先を決めていきます。ほとんどのサイトでは住宅ローンの情報提供に限られていますが、大切なことは家計の分析です。家計の分析は判断材料に含めていますが、家計の状況を知らなければ、いくら住宅ローンの商品に詳しくても自分に合った住宅ローンを選ぶのは難しくなります。

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