短期化する入院日数から医療保険・がん保険の選び方を考える

医療・がん保険
統計から判断材料を探す

 厚生労働省が公表している「平均在院日数の推移(年齢階級別)」より、平均在院日数の変化を紹介します。統計データから平均在院日数を確認し、医療保険やがん保険の選び方を考えます。

 平均在院日数は減少傾向にあり、特に「35歳~64歳」「65歳以上」の平均在院日数はその傾向が顕著に表れています。

 最新のデータでは、病院の平均在院日数は30.6日、一般診療所の平均在院日数は12.9日となっており、医療保険の1入院当たりの支払限度日数を60日型にするか、120日型にするか、もしくはより長期の保障が必要かについて考えていきます。

全体的に短期化する入院日数

 平均在院日数の推移は、病院と一般診療所に分かれています。まずはそれぞれのグラフをご覧ください。

出典:厚生労働省「患者調査」(平均在院日数の推移)

出典:厚生労働省「患者調査」(平均在院日数の推移)

「平均在院日数の推移(年齢階級別)」からわかること

 入院日数は、統計では「在院日数」と表現され、一定の範囲内で年齢を分ける年齢階級別で結果がまとめられています。入院日数を年齢階級別や調査年度で確認することで、1入院当たりの支払限度日数(60日型や120日型など)が妥当かどうかを考えることができます。

 平均在院日数の推移は、年次ごとに減少傾向にあります。特に「35歳~64歳」「65歳以上」の平均在院日数は減少しており、入院の短期化が見られます。一般診療所よりも病院の平均在院日数は長いですが、ベッド数20床以上を「病院」としており、200床以上の大病院などと比べると医療設備が整っていることなどから、平均在院日数も長くなると思われます。

 今回紹介した「平均在院日数の推移(グラフ)」と「グラフのもとになるデータ」の傾向と合わせてまとめておきます。

  • 「35歳~64歳」「65歳以上」の平均在院日数は減少傾向
  • 病院の平均在院日数は30.6日、一般診療所の平均在院日数は12.9日
  • 年を重ねるほど、平均在院日数は長くなる

 注意点として、入院の短期化によって必ずしも医療費の負担が軽減されないことです。外来や日帰り手術の回数が増えると負担する医療費は大きくなるでしょう。たとえばがんの治療では、入院による治療だけでなく、抗がん剤投与や放射線治療など外来による通院治療も行われています。そのため、医療費の負担についてはほかの統計データで確認する必要があります。

医療・がん保険の選び方・必要性について

 「平均在院日数の推移(年齢階級別)」はあくまでも推移を見るためのもので、以前と比較して入院の短期化が見られたとしても、現状に合わせた医療・がん保険を選択するだけです。入院の短期化は前から見られた現象ですので、入院よりも一時金や外来などにも対応した保険を選んでいる人も多いと考えられます。

 特に平均在院日数が長くなる「65歳」以降の医療費負担について考える必要があります。一般に、35歳から加入した場合は、65歳から加入した場合と比べると、65歳以降の保険料負担は小さくなります。つまり早めに加入するほど、高齢時の保険料の負担は軽くなりますが、保険は将来のリスクに備えるためのものであり、保険を活用するかどうかは誰にもわかりません。65歳までに医療保険・がん保険を使わないこともあるでしょう。

 医療・がん保険の加入について、収入のある現役時は必要最小限におさえ、65歳になったら、その上乗せでほかの医療・がん保険を検討する方法があります。この方法のメリットは、医療・がん保険は医療技術の発展によって変化するため、65歳時にも再検討できる点です。もちろん65歳時にこれまで加入した医療・がん保険を解約して加入し直す方法もありますが、これから活用する可能性が高くなるときに解約することについて、十分検討しなければなりません。

 もちろん35歳などから早めに充実した保障を得る方法や医療・がん保険は65歳から加入する方法もあります。それぞれメリット・デメリットはありますが、現在の収支や保険料として支払える予算に影響されるため、最終的には皆さんで決定しなければなりません。

この記事で使用した統計データ(患者調査)の紹介

患者調査の概要

     

出典厚生労働省
統計名患者調査
調査目的病院及び診療所(以下「医療施設」という。)を利用する患者について、その属性、入院・来院時の状況及び傷病名等の実態を明らかにし、併せて地域別患者数を推計することにより、医療行政の基礎資料を得ることを目的とする。
調査対象全国の医療施設を利用する患者を対象とし、層化無作為により抽出した医療施設における患者を客体とした。
調査時期3年ごと(病院・診療所については、3日間のうち指定した1日とした。また退院患者については、1か月間)
公表時期3年ごと

備考

患者調査は、統計法に基づく基幹統計「患者統計」を作成するための統計調査である。

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