世帯年収400万円で住宅を購入できるか

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住宅取得に向けて年収400万円の世帯が家計を把握する

世帯年収400万円と言っても、ご家庭の状況によって異なります。ご夫婦どちらか一方(もしくはシングル)が年収400万円というケースもあれば、夫(又は妻)が年収300万円、妻(又は夫)が年収100万円のケース、夫(又は妻)が年収200万円、妻(又は夫)が年収200万円のケースなどが考えられます。

この記事では、年金額や教育費など中長期的な支出について触れながら、住宅取得資金について考えていきますが、世帯年収400万円の構成割合によっても将来の家計の状況が変わります。将来の状況が異なれば、現時点で取るべき方法も異なります。

住宅取得前に必ず考えるべきこと

最初に考えなければならないのは、退職後の生活資金が十分かどうか、不足額はどのくらいかを想定することです。そのためには、年金額を算出しなければなりません。年金額は、年収だけでなく、厚生年金に加入しているか、国民年金のみかによって異なります。たとえばご夫婦ともに国民年金のみ(厚生年金未加入)であれば、一人年額779,300円(平成31年度)ですので、ご夫婦で(未納がなければ)年額156万円の収入となります。

<年金額早見表>
年金早見表

※加給年金(振替加算)は含まない。
※賞与なし(給与に含まれる)

簡単に年金額早見表を作成してみました。項目はそれぞれ年収と厚生年金加入期間を表します。たとえば夫の年収が平均300万円で37年間働き、妻が専業主婦でパート収入の100万円のみ(厚生年金なし)だと年金額は220万円となります。世帯年収が400万円の場合、表の太枠内が年金額の目安となります。なお、この金額には加給年金(振替加算)や改定率は考慮しておりませんので、実際に「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」で確認するといいでしょう。

住宅取得前に退職後30年間の収入と支出を考える

先ほどの年金額をもとに、30年間の収支を計算してみます。

退職後の収入額(年金収入)

たとえば夫の年収が300万円、妻がパートで100万円だったとします。年金額は220万円ですので、

220万円×30年=6,600万円

が収入合計となります。実際には変動率を加味しますが、ここでは省略します。

退職後の支出額

ここでは、普段の相談ではしないアプローチをしてみます。収入が6,600万円ですので、30年間でピッタリ使用できる金額は、

6,600万円÷30年÷12ヶ月=約18万円

となります。月18万円で生活できれば、年金収入のみでやり繰りできますので、退職までに貯蓄をしなくてもいいことになります。ただ、この金額には、毎月の生活費以外にも自動車の維持費、冠婚葬祭費、旅行代、家電・家具買換え費用など数年ごとの支出も含まれています。

変動率を加味した場合も触れておきましょう。たとえば、30年後の収入の変動率が0.5%、支出の変動率が1.0%だったとします。つまり物価の上昇率の方が先行して上昇しているケースです。変動率を加味しなければ、不足額なしでしたが、この場合は1,230万円の不足となります。

収入:220万円×(1+0.005)30×30=7,665万円
支出:220万円×(1+0.01)30×30=8,895万円
収支:7,665万円-8,895万円=▲1,230万円

さらに、退職後も変動率に差があれば、不足額は大きくなりますが、計算上は年金額に物価変動率が加味されますので、この金額をベースに考えます。

月18万円で生活できたとしても、1,200万円は不足する

ここまでの金額はあくまでも例ですが、ここで考えていただきたい点は、退職後の生活費にどのぐらいかかるか、不足額はどのくらいか、ということです。生活費が月25万円必要となれば、不足額は約4,500万円になります。なお、退職金が期待できる場合は、不足額は少なくなります。

住宅を購入する前に、この不足額を算出することをお勧めします。住宅取得前であれば、住宅価格などを調整することで、無理のない貯蓄ができるためです。人生三大支出のうち、住宅取得価格は下げやすい支出です。教育費や退職後の生活資金を減らすには限度がありますので、住宅取得前に家計を見直すいい機会と考えています。

年金の計算は複雑だが、必ず確認する

エクセルなどの表計算ソフトを使えば、もっと簡単に色々なことができますが、「ねんきんネット」を利用すれば簡易的ですが年金額の試算を行うことができます。住宅の規模を考える際には、必ず年金額を試算してから判断しなければ、判断材料が不十分で、見誤る可能性があります。

世帯年収400万円なら住宅規模はどのくらいか

年金額の試算をすれば、おおまかに不足額を算出することができます。たとえば不足額が3,000万円であれば、退職前までに3,000万円を貯蓄しなければなりません。

本来であればエクセルで資料を作成しますが、ここでも簡易的に考えてみましょう。

退職までの収入

収入は平均で400万円とし、30年間の合計額を算出することにします。

収入:400万円×30年=1億2,000万円

退職までの支出

今回は、住宅規模を知りたいため、住宅ローンの返済額以外の支出額を考えます。食費や被服費など基本生活費を15万円とし、子供一人の教育費を1,000万円とします。

・15万円×12ヶ月×30年=5,400万円
・子供一人分の教育費:1,000万円
・支出額:6,400万円

退職までの収支

・収支:1億2,000万円-6,400万円-3,000万円=2,600万円

収支の残り2,600万円は住宅に使うことができます。ただ、この計算が成立するためには、物価上昇がないこと、少なくとも物価の上昇率より給与の上昇率の方が高くなければなりません。しかも、自動車の維持費、通信費、保険料など居住費と教育費を除くすべての支出を基本生活費として15万円以内にする必要があります。年1回の旅行や帰省費用、家具・家電の買換えなど数年ごとの支出も考えなければなりません。

ここまでの試算に疑問を持つ必要がある

ここまでの計算は、分かりやすさ優先で解説しています。物価上昇率を加味していませんし、教育費や生活費もかなり大雑把です。この記事をもとに、「年収400万円=住宅規模2,600万円」とは考えないようしてください。このことは住宅ローンのシミュレーションなどでも同様です。家計の状況は個々に異なります。将来にわたり安心して生活するためにも、実際にエクセルなどを使用し、試算することをお勧めします。

これまでの相談した経験から、収入が高いほどゆとりがあるとは限りません。支出の仕方が家庭によって異なるからです。支出額が家計によって違うため、年収からだけ住宅ローンの借入額を判断することは危険です。上記の例で、退職後の生活費を考えず、年収からたとえば3,000万円のローンを組んでしまうことの危険性はご理解いただけたのではないでしょうか。

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