住宅資金があっても全額住宅ローンを組んで手持ち資金を運用した方が得か?

この記事を読むのにかかる時間:324

住宅資金があっても全額住宅ローンを組んで手持ち資金を運用した方が得か?

住宅ローンの金利はこれまでの推移から考えると、低い水準が続いています。金利が低いと、住宅ローンは全額借り入れ、頭金は元本として投資した方が得なのでは?という疑問がわきます。ここでは、全額住宅ローンを組んで運用した方が得か?考えていきます。

借入金額とほぼ同額の資産があれば、全額借り入れしても良さそう

3,000万円の住宅を取得しようすとする際、3,000万円全額借り入れるとします。当然利息が発生しますが、別に3,000万円の資金があり借入利率を上回る運用できるのであれば、3,000万円で一括購入するより良いのではないか、と考えるでしょう。ただ住宅ローンを利用すると、利息額以外に、融資金額に応じた事務手数料がかかります。まず、金利の低いフラット35S(Aタイプ)で全額借り入れた場合と一括購入した場合とで比較してみましょう。

【比較1】フラット35S(Aタイプ)/借入金額3,000万円/返済期間30年

2019年2月の金利は、当初10年1.50%、11年目以降1.75%となっています。これらの条件で利息額と事務手数料(融資金額×1.08%)を計算すると、次のようになります。

・利息総額 7,869,279円
・事務手数料 324,000円
合計 8,193,279円
※登記費用や司法書士報酬などその他の費用は考慮せず。

住宅ローンで全額借り入れると、一括購入した場合と比べ、約820万円余分にかかることになります。全額借り入れたことで手元に残った3,000万円を運用し、30年間で約820万円の利益が出ればいいことになります。上場株式や投資信託の税率は20.315%ですので、税金を考慮すると、約1,030万円の利益が必要となります。3,000万円の資金を30年間複利運用し、4,030万円にするためには、実質年利約0.989%を超えればいいことになります。ポートフォリオ運用をした経験がある人であれば、0.989%という数値は決して難しくないと感じるのではないでしょうか。また1%の複利運用で、30年後には約1,000万円増えることも魅力です。さらに、つみたてNISAやiDeCoを利用すれば税制優遇を受けられるためより効果的に運用することができます。3,000万円の借り入れで、住宅ローン控除による還付金が10年間で250万円程度あれば、プラス要素です。

もちろん、デメリットもあります。まず計算は、3,000万円を使わず、すべて運用に回せる状態でなければなりません。教育費用などに使ってしまうと運用効率が落ちますので、事前に運用できる金額を決めておくといいでしょう。ただ手元に資産が残るため、緊急資金に利用できるというメリットもあります。また元本保証のない資産運用ですので、結果的に一括購入した方がよかったことになる場合もあります。

【比較1】物件価格の8割を借り入れた場合と比べると?

3,000万円の現金を持っている人は少ないかもしれませんので、もう少し現実的に、全額借り入れる場合と600万円(融資率8割)を頭金にし2,400万円借りた場合とで比べてみます。全額借り入れた場合は600万円を運用に回すことにします。

近年の住宅ローンでは、融資率9割以下や8割以下になると金利が下がる商品があります。このことを踏まえて、比較してみましょう。

・3,000万円借り入れ 当初10年1.50%/11年目以降1.75%
 事務手数料1.08%
・2,400万円借り入れ 当初10年0.96%/11年目以降1.21%
 事務手数料2.16%

上記の条件で計算すると、次のようになります。

・負担額 2,572,519円
※600万円多く借り入れたことによる増加分

事務手数料率は低くなるものの、3,000万円全額借りると、約257万円負担が増えることになります。600万円を元手に30年間の投資で323万円(税金考慮済)以上利益が出ればいいことになります。先ほどと同様、複利計算で必要な利率を計算すると、実質年利1.446%必要となります。こちらもポートフォリオ運用では難しい運用とは言えません。なお、こちらのデメリットも先ほどと同様です。

【比較2】は誰でも実践できそうな方法?

【比較1】は現金3,000万円がなければなりませんが、【比較2】は600万円あればできますので、比較的ハードルは高くないかもしれません。ただ一般的に借金は少ない方が精神的な負担は軽いと思いますので、この方法を選択するための条件を考えてみます。

<あえて全額借り入れる場合の条件>
・ある程度の投資経験がある。
・資金を他に回す必要がない。
・運用が上手くいかなくても、自ら選択したこととし後悔しない。
・年収1,000万円以上などある程度の収入がある人ほど積極的に利用できる。など

他にも条件があるかもしれませんが、誰でも積極的に利用できる方法とまでは言えないでしょう。

預金連動型住宅ローンを利用する方法も

預金連動型住宅ローンは、預金残高分の利息はかからない商品です。そのため、資産運用に自信のない人は、預金連動型住宅ローンを利用することで、利息負担を軽減することができます。たとえば、3,000万円のローンを組み、預金に3,000万円あれば利息はかかりません。

ただ預金連動型住宅ローンは、住宅ローン残高分は引き出せません(引き出すと利息を負担しなければならない)ので、3,000万円全額を資産運用に回すことはできません。また東京スター銀行の住宅ローンを想定していますが、融資率9割以内でなければならず、全期間固定金利型がありません。また預金連動型と言っても諸費用はかかりますので、3,000万円以上の資金が必要となります。住宅ローンの借入利率以上の運用をして利益を得たい場合には対象外の商品となってしまいます。

「全額住宅ローンを組んで運用した方が得か?」まとめ

住宅ローンの低金利を利用した投資について初めて知ると、目からうろこが落ちるような感じを受けるかもしれません。くれぐれもその感情のまま行動せず、ご自身の状況を踏まえ、メリット・デメリットを考えてから実行してください。

あわせて読みたい

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。