コラム[住宅ローン]

住宅ローンの固定と変動はどっちがいい?固定をベースにした金利タイプの選び方

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住宅ローンを利用する際、決めなければいけない一つに金利タイプがあります。金利タイプは主に変動金利型、全期間固定金利型、固定金利期間選択型の3タイプあり、それぞれ特徴が異なります。

それぞれの金利タイプにはメリット・デメリットがありますが、一般的な特徴だけで決めてしまうと、思わぬ失敗を招くかもしれません。

どのような考えで金利タイプを選んでいけばよいのか、今回は、住宅ローンの固定と変動の選び方に重点を置いて解説していきます。

住宅ローンの金利タイプは固定金利型を選ぶのが基本

ここでの固定金利型は全期間固定金利型を指し、住宅ローンの金利タイプは固定金利型を選ぶのを基本とします。よく固定金利型はこれから教育費などの大きな支出を控えている人向けと言われますが、個々の状況に関わらず金利上昇による影響は誰でも受けます。

そもそも金利に関係なく、数千万円の借金をしている時点でリスクを抱えています。仕事が順調であればいいですが、借入時点で保証されているわけではありません。家計への影響を最小限に抑えるためにも固定金利型を選ぶのがベストです。

また固定金利型を選んではいけない金利水準として、金利が高止まりしてから下落傾向にあるときと言われます。このときには固定金利型ではなく変動金利型を選んだ方がいいですが、下落傾向がいつまでも続くことが予測できるかどうかが問題です。結果的に固定金利型を選んでしまい、変動金利型の方が利息額は少なかったはずという状況になる可能性はあります。しかしこれは結果論で、固定金利型を選ぶことで金利上昇による利息額の増加を回避している大きなメリットを受けてきたことで良しと考えればいいのです。

ただ借入当初から借り換えを計画し、金利推移を見て借り換えをすることを前提としており、シミュレーションを自ら時間をかけて行うことが苦ではない人は変動金利型や10年固定も候補となり、利息額を減らせる可能性があります。この場合でも借入当初のシミュレーション結果だけを見て、借入金額を増やす目的で変動金利型を選ぶわけではありません。つまり借入当初に金利が上がらないことを前提としたシミュレーションで金利タイプを選んだり、借入金額を増やすためだけに変動金利型を選んだりしないことが重要です。

人は将来のリスクより目の前のリターンに注目しがちですので、金利が上昇するリスクより利息額が少ない今を自然と大きなメリットと考えているのかもしれません。

住宅ローンの見逃せない変動金利型の特徴

住宅ローンの金利タイプは全期間固定金利型が基本であることを説明しました。私の知っている範囲ですが、固定金利型を選ぶ人は金利タイプの選択に悩んでいない印象があります。金利推移が低い時期は特に迷いなく固定金利型を選んでいます。

ただ変動金利型や10年固定を選ぶ価値がないわけではありません。まずは変動金利型の見逃せない特徴について紹介しておきます。

 

借入当初から10年間金利が上昇しなければ変動金利が得

利息額は、「融資残高×金利」で決まりますので、融資残高が少なければ金利が上昇してもその影響は大きくありません。金利上昇による影響は具体的に確かめた方がいいので、いくつかシミュレーション結果を紹介いたします。

2019年4月時点の金利を参考に、全期間固定金利型の金利を1.70%、変動金利型の金利を0.50%としてシミュレーションしてみます。

[借入条件]借入金額3,000万円/返済期間30年(元利均等返済)

利息総額 毎月返済額
固定金利型 8,318,062円 106,440円
変動金利型 2,312,281円 89,757円

このシミュレーション結果で変動金利型を選んでしまう人は、毎月の返済額だけで判断していないでしょうか。毎月の返済額が10万円を超えると返済額としては高いという印象があるでしょうし、返済額の差が16,000円ほどあると、その分、ほかの支出に使えると考えるでしょう。

利息総額を見ると、600万円の違いがありますので、変動金利型を選び、できる限り負担を減らしたいと考えるのもわかります。ただ変動金利は金利が変動しないことを前提としたシミュレーション結果ですので、これで結論を出すには早すぎます。

ここでの本題は、変動金利が当初10年間で金利変動したらどのような影響があるかを見ることですので、次のシミュレーションを確認してみましょう。

 [金利の変化]5年後に+1.00%、10年後に+1.00%

利息総額 毎月返済額
固定金利型 8,318,062円 106,440円
変動金利型 8,132,933円 111,146円

※変動金利型の1.25倍ルール等は考慮しておりません。

借入当初より2.00%上昇したことになりますが、変動金利型の基準金利を2.75%としている金融機関は多いですので、けた外れに上昇した数値ではありません。5年目に1%、10年目に1%上昇すると、ほぼ固定金利型と変わらないことがわかります。

次に、当初10年間は金利変動せず、15年目と20年目に変動した場合でシミュレーションしてみましょう。

[金利の変化]15年後に+1.00%、20年後に+1.00%

利息総額 毎月返済額
固定金利型 8,318,062円 106,440円
変動金利型 4,122,353円 101,419円

変動金利型を見ると、金利上昇により返済額は10万円超えるのは当然として、利息総額は400万円程度にとどまっています。このように金利が上昇するにしても上昇するタイミングによって利息総額が異なることがポイントです。

変動金利型を選ぶ人は、当初10年間に2%以上の金利変動が起きないと考えていなければならないことになります。

住宅ローンの検討しておきたい10年固定の特徴

次に金利タイプ10年固定の特徴について解説します。10年固定は、先ほど説明した変動金利型の長所を生かした金利タイプと言えます。融資額が大半残っている借入当初の金利上昇を回避するために、当初の10年のみ固定金利を適用させることだけ確定し、10年目以降は金利の動向を見て、引き続き10年固定(又は全期間固定金利)にするか変動金利にするかを選択します。

「融資残高×金利」の関係を上手に利用した金利タイプの選択ですが、固定金利期間満了後に再び金利選択をしなければならず、そのときの金利水準により金利が決定するため、金利上昇のリスクを完全に回避できるわけではありません。

変動金利型と同様、10年固定もシミュレーションして、全期間固定金利型との違いを確認してみましょう。2019年4月時点の0.70%で試算しています。

利息総額 毎月返済額
固定金利型 8,318,062円 106,440円
10年固定 3,268,708円 92,414円

10年固定は変動金利型より金利が高いため、利息総額や毎月の返済額は変動金利型より高くなりますが、全期間固定金利型ほどではありません。ただ変動金利型と同様、金利が変動しなかった場合の結果ですので、判断材料にはなりません。10年後に金利が上昇した場合でシミュレーションしてみましょう。

[金利の変化]10年後に+2.00%

利息総額 毎月返済額
固定金利型 8,318,062円 106,440円
10年固定 7,890,199円 111,670円
変動金利型 8,132,933円 111,146円

10年後に再び10年固定を選択するとして、切り替え時に2%上昇していた場合、全期間固定金利型や変動金利型で5年後・10年後に金利上昇したときとあまり変わらない結果となりました。金利変動の変化によっては変動金利型と10年固定の違いが小さいことから、10年固定の金利が低く設定されているのかもしれません。ただ10年以内の金利上昇が大きいほど、変動金利型より10年固定の方が金利上昇リスクを回避することができます。

いずれにしても10年固定も10年後に金利が2%上昇していると全期間固定金利型とほぼ変わらないことから、2%上昇を想定するかどうかが判断材料になります。もちろん想定ですので、確実な判断材料ではありません。

住宅ローンの固定か変動を選ぶために知っておきたい基本的な特徴

住宅ローンの固定金利と変動金利のそれぞれの特徴についてはご存知かもしれませんが、ここでは一般的な金利タイプの特徴を解説していきます。

 

住宅ローンの全期間固定金利型の特徴

住宅ローンの全期間固定金利型は、借入期間中の金利変動がないため、総返済額が借入時点で決まっていることです。将来の金利上昇によるリスクを金融機関側に負ってもらうことになりますので、金利は変動金利より高くなります。

住宅ローンの固定金利期間選択型の特徴

住宅ローンの固定金利期間選択型は、固定金利の期間が限定されており、期間満了後に再び変動金利か固定金利を選択しなければなりません。また期間満了後の金利水準で金利が決定しますので、固定期間を選び続けても金利が上昇する可能性があります。

住宅ローンの変動金利型の特徴

住宅ローンの変動金利型は、金利上昇のリスクを借り手が負う金利タイプです。返済期間中も金利が変動しますので、金利が上昇した場合には返済額が増える可能性があります。

住宅ローンの固定と変動の選び方|固定金利型の推移

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金利推移

金利推移は過去のデータですので、判断材料になるかどうかは微妙です。将来の金利推移を表しているわけではありませんが、現在の金利が低金利なのか高金利なのか、金利上昇傾向なのか、下落傾向なのかある程度の現況を把握することはできます。

固定金利の基準

固定金利は、新発10年物国債利回りを基準に決定するのが一般的です。ネット銀行など比較的新しい金融機関では独自で判断してるケースもあります。金融機関ごとの金利推移については、一部の金融機関を除き、公開されていませんので、新発10年物国債利回りである程度の金利推移を把握することができるでしょう。株式取引のように売買益を追及しているわけではありませんので、大まかな把握だけにとどめておきます(気になる人はより深く調べても構いませんが)。

新発10年物国債利回り

「新発」は新しく発行されたという意味で、10年後に元本額で償還される国債(国の借金、借用証書)です。


住宅ローンの固定と変動の選び方|変動金利型の推移

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変動金利の金利推移

金利推移は過去のデータですので、判断材料になるかどうかは微妙です。将来の金利推移を表しているわけではありませんが、現在の金利が低金利なのか高金利なのか、金利上昇傾向なのか、下落傾向なのかある程度の現況を把握することはできます。

変動金利の基準

変動金利は、一般的に短期プライムレートを基準に決定します。短期プライムレートは日本銀行やみずほ銀行などで公開されていますので、いつでも確認できます。なお、都市銀行などでは、変動金利型の基準金利を、「短期プライムレート+1.00%」で設定していますが、ネット銀行などは独自の基準で金利を設定していますので、基準金利はまちまちです。

短期プライムレート

※出典:日本銀行「長・短期プライムレート(主要行)の推移
※クリックすると拡大します。

変動金利型を選ばない理由

変動金利を選ばない理由として、「返済額が上がるのが心配」「固定金利型は計画が立てやすい」が挙げられますが、これだけで変動金利型のメリットを放棄してしまっていいのか、全期間固定金利型の利息負担を受け入れてもいいのか、という問題があります。

確かに変動金利型は金利の変動により返済額が上がる可能性がありますが、0.1%でも、1%でも上昇は上昇です。つまり、どの程度まで上がると家計にとってリスクがあるのか、どの程度まで上がると支払えなくなるのかシミュレーションしないうちに全期間固定金利型を選択してもいいのか、という点です。

返済額は、「借入金額(借入残高)×利率」で決まります。順調に返済していれば借入金額(借入残高)は減少しますので、多少、金利が上がっても、返済額に影響しないかもしれません。

決して、変動金利型を勧めているわけではありません。ただ単純に全期間固定金利型を選択すると知らないうちに負担になっている可能性がありますので、固定金利の方が安心だと勧められても、シミュレーションをして確認してから判断しても遅くはないでしょう。


まとめ

住宅ローンの金利タイプ、変動金利型か、全期間固定金利型か、固定金利期間選択型か、それぞれの特徴やメリット・デメリットだけを考えると選びにくいかもしれません。しかし、この記事で紹介したように、全期間固定金利型をベースにして、変動金利型や10年固定のメリットやデメリットを理解した上で、変動金利型や10年固定を選ぶのであれば、あとは金利が上昇したときにどのような対応をするか決めておくだけです。変動金利型や10年固定のデメリットを強く感じるのであれば、基本となる全期間固定金利型がふさわしいと言えます。

このことは、低金利が続いている現在で考えられる選択方法です。選び方は家計の状況によっても異なりますので、決めかねている人は公正中立なアドバイスができる専門家などに相談してみましょう。

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