ARUHIのフラット35は本当にお得なのか
ARUHIの仕組みが分かると、金融機関の商品や住宅ローンの仕組みが分かってきます。最近は、他行の商品を扱っている金融機関やフランチャイズを展開している金融機関があり、複雑化しています。ARUHIを理解すると全体像が見えてきますので、住宅ローン選びに役立ててください。
フラット35の借入先候補となるARUHI
ネットを検索して初めて、ARUHIという金融機関を知った人は多いでしょう。ARUHIは銀行ではなく、フラット35を扱う金融機関ですので、住宅ローンを利用する人でなければお目にかかれません。このARUHIの商品から、どうすれば自分に合った商品を選ぶか考えていきます。なお、私のお客様にはARUHIを使う方もいれば、使わない方もいます。私は情報をお伝えするだけで、選ぶのはお客様自身ですので、私が強く勧めたり、逆に止めるよう忠告することはありません。ただ間違った認識で選ばないようにアドバイスしております。
ARUHIのフラット35はお得なのか
「ARUHIのフラットは他のフラットより金利が低い」として勧められたことはあるでしょう。実際に、一定額の頭金が必要ですが、金利水準は低いです。ただもう少し、住宅ローンについて知らなければ、単純に「ARUHIはお得と勧められた⇒ネットで確認したら本当だった⇒ARUHIにした」というロジックで借入先が決まってしまいます。住宅ローンに限らず、商品を選ぶ際には、このような思考が見られるのではないでしょうか。
様々な金融機関と十分に比較検討した上でARUHIを選ぶ分には問題ありませんが、何も検討せずARUHIを選んだとすると、実際には負担が大きくなる可能性もありますので、注意が必要です。
そもそもARUHIのフラットはほかのフラットとは別商品
フラット35には買取型と保証型があります。買取型は決められた範囲内でしか金利が決められず、ほとんどの金融機関で最低金利を採用しています。一方、保証型は住宅金融機構が保証会社となる住宅ローンで、買取型とは全く別の商品です。大多数は買取型であるため、保証型のARUHIは特徴的に見えます。ARUHIだから金利が低いのではなく、保証型だから金利が安いと認識した方が比較しやすくなります。しかし、2019年1月現在、広島銀行が新たに加わりましたが、保証型を扱う金融機関は4行(ARUHI、広島銀行、日本住宅ローン、財形住宅金融株式会社)しかありません。
さらに、保証型を取り扱う金融機関のうち、一般的に利用できるのはARUHIか広島銀行となります。日本住宅ローンは、積水ハウス、大和ハウス工業、住友林業、セキスイハイムで住宅を建築・購入した場合に適用され、財形住宅金融株式会社は勤め先の会社で利用している必要があります。つまり、フラット35で金利が低く、広く一般的に利用できる住宅ローンはARUHIのみとなります。
ARUHIには買取型もある
ARUHIには買取型もあり、買取型の金利は他の金融機関と同じく最低金利を採用しています。そのため、保証料が元々ないフラット35ですので、差が出るのは主に事務手数料となります。ARUHIの保証型ではなく買取型で借り入れる場合は特に注意が必要です。
「ARUHIはお得と勧められた⇒ネットで確認したら本当だった⇒ARUHIにした」というロジックで考えた場合、最初の「お得」は保証型を指すことが多く、「保証型は選ばなかった⇒でもARUHIはお得でしょ?⇒ARUHIにした」というロジックになると、比較していないことになります。
そもそもフラット35の保証型は、頭金2割(融資率80%以下)という条件で金利が優遇されるため、これまで十分に準備してきた人しか利用できません。住宅金融支援機構は保証型の取り扱いを増やす意向ですが、現状では「保証型ならARUHI」というロジックはある程度成立します。しかし買取型の場合は、商品が別ですので、他の金融機関と比較しなければ負担が増える可能性があります。
分かりにくい「直営店」と「FC店」の違い
ARUHIには「直営店」と「FC店」があります。FC店は、たとえば保険代理店がフラット35の取次店となっている店舗です。ここで先ほど説明した「保証型ならARUHIというロジックはある程度成立します」の「ある程度」としたことに触れていきます。
ARUHIの事務手数料は借入金額×2.0%(税別)が標準となっており、ネット完結の「ダイレクト」を利用すると、事務手数料が1.0%となります。しかしダイレクトを利用できるのは、一般のフラット35で、保証型では利用することができず、FC店で手続きする必要があります。金利が低く、事務手数料が1.0%であれば他の金融機関よりかなりお得なのですが、事務手数料は2.0%ですので、借入条件によっては買取型で事務手数料の低い金融機関の方がお得になる可能性もあります。
この事務手数料1.0%の差は「FC店」の儲けになる部分だと考えられます。このこと自体はいいのですが、「ARUHIはお得と勧められた⇒ネットで確認したら本当だった⇒ARUHIにした」というロジックや「保証型は選ばなかった⇒でもARUHIはお得でしょ?⇒ARUHIにした」というロジックだけでは、本当に負担の軽い商品を選べない可能性があります。確かにシミュレーションをして比較すると、ARUHIの総支払額は少ないことが多いですが、誰にでも当てはまるわけではありませんので、注意が必要です。
「直営店」と「FC店」のもう一つの違い
フラット35に決めている人にとってはあまり関係ありませんが、原則、「直営店」ではフラット35の取り扱いはありません。直営店で扱っているのは、他行の商品となります。最近は、他行の商品を扱うケースが見られ、複雑化しています。ARUHIの場合、住信SBIネット銀行、ソニー銀行、楽天銀行の商品を扱っていますが、一般的に「間にもう一社入れば」手数料が発生します。そのため、十分比較して検討しなければなりません。
条件によっては、他社の保証型の方がお得になることも
「ARUHIはお得と勧められた⇒ネットで確認したら本当だった⇒ARUHIにした」というロジックで選ぶことは、自ら「より負担の軽い住宅ローンを利用する」ことを放棄したことと同じです。たとえば、ハウスメーカーと提携で保証型が利用できる日本住宅ローンの場合、事務手数料は借入金額×1.42%となっており、適用金利はARUHIと同じです(おそらく、住宅金融支援機構が保証できる最低金利で、ARUHIも日本住宅ローンも最低金利を採用していると考えられます)。
そもそも物件価格が高いことなど総合的な判断が必要ですので、宅ローンのためだけにハウスメーカーを絞るのも危険です。ただ提携ハウスメーカーでも問題ないという人にとっては、選択肢の幅が広がります。無意識に選択肢を減らしてしまわないようにしなければなりません。
スーパーフラットは金利がかなり低いが、実は・・・
ARUHIの保証型は他の金融機関が扱うフラット(機構買取型)に比べ、金利が低いことが魅力です。さらに事務手数料が「融資金額×1%(税抜)」となっており、諸費用も低く設定されています。情報サイトでも「1%」が強調されて、第一候補にする人も多いでしょう。しかし商品を選ぶ際には、相談し、見積もりをもらい、契約直前まで油断はしない方が賢明です。契約直前でも再考する勇気が必要です。
スーパーフラットは頭金を購入価格の2割以上準備すれば利用できるフラット35(保証型)です。しかしスーパーフラットはweb完結の「ダイレクト」を利用できないため、事務手数料は2%(税抜)となり、基本的にFC店で手続きするしかありません(直営店では扱っていない)。
どこかの段階で、事務手数料1%は適用されないことに気づくと思いますが、契約直前に気づいたとしても、一旦持ち帰り、比較検討し直さなければなりません。契約直前になると、考えようとする意思が弱くなり、「それほど変わらないだろう」と根拠のない理由で選んでしまうことになります。
スーパーフラットの事務手数料が2%であることは、公式サイトを探すと分かるのですが、普通の人は気づかないと思います。住宅ローンの商品に限らず、様々な場面で見られますが、不利なことは積極的に、強調して説明せず、淡々と、重要であることを感じさせないよう説明します(あくまでも一般的な話です)。少しでも気になったことはその都度指摘しなければ、決して自分に合った商品選びはできないでしょう。
ARUHIから自分に合った商品の選び方を考える
ARUHIの商品は公式サイトを十分見ないと、仕組みが分からないため、ここで、ARUHIから自分に合った商品の選び方を紹介しておきます。
・条件が変われば、もう一度、比較検討する ※保証型から買取型は大きな変更 ・申し込む窓口によって条件が異なる可能性あり ・ランキングや「安い」、「お得」というイメージに引きずられない
「ARUHIのフラット35は本当にお得なのか」まとめ
私も住宅ローンの特徴を調べる際には公式サイトを隅から隅まで読みますが、それでも理解できない場合があります。不明な点は直接電話で問い合わせていますが、この記事にはその際の情報も盛り込まれています。ある程度の知識を持っていても理解できない内容がありますので、これから住宅ローンの借入先を選ぼうとしている人は分からないことだらけではないでしょうか。
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