住宅ローンの借入先を探す際に判断材料となるのが総返済額や総支払額です。金利を下げるにも限度があることから、事務手数料や団信の保険料の負担を下げることで金融機関は差別化を図っています。
そのため借り手としても金利だけでなく、諸費用にも気を配らなければなりません。シミュレーションをして比較検討すれば誰でも最適の借入先が見つかるでしょう。しかし一部の情報だけにとらわれ、選択の根拠としてしまうと意図しない選択をする可能性もあります。
そこで、ここでは住宅ローンの総返済額と総支払額は何を示しているか、基本となる言葉の定義を明確にすることから始めるための記事となります。なお、金融機関によって用語の定義は異なりますので、比較する際の統一すべき項目として紹介しています。
住宅ローンの総返済額と総支払額
住宅ローンを利用する際には様々な費用がかかります。借り入れにより発生する利息も費用ですが、事務手数料や保証料、団信保険料や火災保険料なども金融機関によっては支払わなければなりません。そのため、住宅ローンを利用することにより発生する費用で比較する必要が出てきます。
しかし費用の名称や取り扱いが金融機関によって異なることから、複雑に感じるかもしれません。そこで分かりやすいように住宅ローンの総返済額と総支払額に分けて考えます。
住宅ローンの総返済額
住宅ローンの総返済額は、元金と利息を合計した金額で、金利によって変動します。住宅ローンだけでなく借り入れの負担を左右するのが金利ですから、できる限り負担を軽くするためにはできるだけ低い金利で借り入れられる金融機関を探す必要があります。
なお団信の保険料や事務手数料(保証料)などは金利に上乗せして支払う場合がありますので、住宅ローンの総返済額で比較する際には注意が必要です。たとえば次のような金融機関どうしを比較する際には同条件となっているか確認しましょう。
・金融機関A:三大疾病保障付き団信保険料無料
・金融機関B:三大疾病保障付き団信保険料金利+0.2%上乗せ
三大疾病保障付き団信に加入する人は金融機関Bについては金利を上乗せして比較します。団信に加入しない人は団信が付いているかどうかは判断材料になりません。そのため無料で付いた団信は気にせず、金融機関Aと金利に上乗せしない状態の金融機関Bを比較すればいいでしょう。
住宅ローンの総支払額
住宅ローンの総支払額は、総返済額に事務手数料や保証料、団信保険料、火災保険料などを含めた金額です。金融機関の金利で差が出なくても、事務手数料や保証料、保険料などで差が出る場合がありますので、比較する際には総支払額を使用します。
最近は火災保険も金融機関で取り扱っているため、同時に様々なことを考えなければなりません。いきなり総支払額にすべて含めてしまうと複雑になるため、火災保険は除いて考えるといいでしょう。火災保険は金融機関で加入せず、自ら損保会社の商品を探した方が選択肢は多く、保険料を抑えられる可能性があります。
- 団信保険料:一般の団信は加入するにしても、全疾病保障付き団信など保障を充実させるか決めてから比較しなければなりません。
- 火災保険料:火災保険を金融機関で加入するか、自ら探して加入するか決めてから比較しなければなりません。
住宅ローンの情報の見方
金融機関のサイトなどでは、「低金利」「保証料0円」など大きく掲載されていますが、皆さんにとって重要なことは総支払額ですので、総支払額を試算するまではその金融機関が借入先の候補であると判断してはいけません。「選択肢の一つになるかもしれない」程度と考えておきましょう。
- 総返済額:利息を含めた金額
- 総支払額:総返済額に諸費用や団信の保険料などを含めた金額
特に負担が増える住宅ローンの費用
住宅ローンに係る費用の中には、印紙税など金融機関により差が出ない費用や司法書士への報酬など若干?差が出る程度の費用がある一方、事務手数料や保証料のように数十万円の差が出る費用もあります。特に次のような負担が増える費用には注意が必要です。
・金利による利息総額
・諸費用(事務手数料・保証料)
・団信保険料(主に金利上乗せ)
・火災保険料
上記の費用を特に意識して比較するようにすれば分かりやすいでしょう。
住宅ローンの総返済額と総支払額はシミュレーションか見積もりで分かる
住宅ローンの総返済額や総支払額は、各金融機関のサイトにあるシミュレーションを利用すれば概算を算出することができます。シミュレーションを利用するためには、借入金額や毎月の希望返済額、借入期間、金利タイプなど決めておかなければなりません。金融機関に相談すれば見積もりをお願いすることもできますので、最終判断では見積もりを利用しましょう。
またシミュレーションは必ずご自身で行い、情報サイトのシミュレーション結果やシミュレーション結果によるランキングを信用しすぎないようにしましょう。
住宅ローンの総返済額と総支払額まとめ
比較する際には、各金融機関で呼び名が異なるものをまとめなければなりません。最初はハードルが高いかもしれませんが、負担をできるだけ軽くしたい人にとっては価値のあるものです。
知識や正しい情報をもとにすれば自分に合った商品を選びやすくなりますが、簡単ではありません。少しずつ情報を集める中で身に付けられると思います。
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