統計データ[GDP統計/内閣府]

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『国民経済計算(GDP統計)』

『国民経済計算(GDP統計)』概要

国民経済計算は、経済の全体像を国際比較可能な形で体系的に記録することを目的に、国連の定める国際基準(SNA)に準拠しつつ、統計法 に基づく基幹統計として、国民経済計算の作成基準及び作成方法に基づき作成される。
国民経済計算は「四半期別GDP速報」と「国民経済計算年次推計」の2つからなっている。「四半期別GDP速報」は速報性を重視し、GDPをはじめとする支出側系列等を、年に8回四半期別に作成・公表している。「国民経済計算年次推計」は、生産・分配・支出・資本蓄積といったフロー面や、資産・負債といったストック面も含めて、年に1回作成・公表している。

目的

四半期別GDP速報(QE:Quarterly Estimates)は、一国全体のマクロ経済の状況を明らかにする国民経済計算のうち、支出系列及び雇用者報酬について毎四半期毎に公表することで、カレントな景気判断を行うための基礎資料となることを目的としている。1次速報は当該四半期終了後から1ヶ月と2週間程度後、2次速報は、1次速報以降新たに利用可能となった基礎資料を用いて、さらに約1ヶ月後に公表される。

GDP=民間消費+民間投資+政府支出+輸出-輸入

民間消費=民間最終消費支出
民間投資=民間住宅+民間企業設備+民間在庫品増加
政府支出=政府最終消費支出+公的固定資本形成+公的在庫品増加
輸出=財貨・サービスの輸出
輸入=財貨・サービスの輸入

長期推移データ

1955年(昭和30年)からの計数を掲載しているが、現在までの同一基準による一貫したデータは遡及改定していない。長期のデータを参照する場合は、各基準年の計数を繋げることになるが、体系基準年が異なるため直接接続しない。

公表日程(四半期別GDP速報) 1-3月期:5月・6月
4-6月期:8月・9月
7-9月期:11月・12月
10-12月期:翌年2月・3月
公表日程(国民経済計算年次推計) フロー編・ストック編:12月中旬
分類 基幹統計調査
リンク先 GDP統計

GDP推移

名目GDPと実質GDP

名目GDPと実質GDPの違いを確認しておこう。
(具体例)
1年目 年間生産量と価格
:コーヒー10杯/1杯100円/売上1000円

(例1)1年目は10杯100円で売れていたが、売れないため、1杯80円にした。

2年目 年間生産量と価格
:コーヒー10杯/1杯80円/売上800円
□名目GDP成長率 ▲20%
 100円×10杯 → 80円×10杯
□実質GDP成長率 0%
 100円×10杯 → 100円×10杯
■名目GDP成長率が実質GDP成長率を下回る。
※名目GDPでは価格を80円として計算しており物価変動を考慮しているが、実質GDPでは100円のままである。
※販売不振で「100円×8杯」としても、100円で売れないため、例のように、「80円×10杯」となる。不景気で、10杯売れないときは、生産ラインを減らしたり、支店を減らしたりして「80円×8杯」にするだろう。この場合の名目GDP成長率▲36%、実質GDP成長率▲20%となり、名目GDP成長率が実質GDP成長率を下回っている点は変わらず、両成長率の下げ幅が大きくなる。

(例2)1年目の100円ではすぐに売れ切れてしまう(値上げしても売れる)ので、1杯120円にした。

(例2)
2年目 年間生産量と価格
:コーヒー10杯/1杯120円/売上1200円
□名目GDP成長率 20%
 100円×10杯 → 120円×10杯
□実質GDP成長率 0%
 100円×10杯 → 100円×10杯
■名目GDP成長率が実質GDP成長率を上回る。
※名目GDPでは価格を120円として計算しており物価変動を考慮しているが、実質GDPでは100円のままである。

・物価が上昇しているときは、名目GDP成長率が実質GDP成長率を上回る。逆に、物価が下落しているときは、名目GDP成長率が実質GDP成長率を下回る。
・(例2)を見て分かるように、実質GDP成長率を上昇させるためには生産量が増加する必要があるが、価格が上がらないと所得に反映しないので、名目GDP成長率の上昇と伴った実質GDP成長率でなければならない。

潜在的GDP

資本や労働などの生産要素が最大限に活用された場合や過去の平均的な水準まで活用された場合に実現できる総産出量(総供給量)のこと。
デフレギャップは、「潜在的GDP(総供給量) – 名目GDP(総需要)」で求める。
ただ、潜在的GDPをどちらの意味で使っているかを理解する必要がある。内閣府や日銀の潜在的GDPの定義は過去平均の実質GDPとしている。

・実質GDPを潜在的GDPの軌道上に乗せることは、生産力をフル回転させることであるため、「二十四時間働けますか」状態であり、不可能であるという意見もある。
・アベノミクス三本の矢の一つ「民間投資を喚起する成長戦略」では、潜在的GDPを一段階引上げ、実質GDPを現在の潜在的GDPの軌道に乗せようとした。

GDPデフレーター

GDPデフレーターは、実質GDPを算出する際に物価変動の影響を取り除くために使われる。

実質GDP=名目GDP÷GDPデフレーター
GDPデフレーター=名目GDP÷実質GDP

GDPデフレーターは名目GDPを実質GDPで割っていることから、名目GDP成長率が実質GDP成長率を下回るとGDPデフレーターの増加率はマイナスとなりデフレ、名目GDP成長率が実質GDP成長率を上回るとGDPデフレーターの増加率はプラスとなりインフレと考えられる(前述の名目GDPと実質GDPの具体例を見ながら考えると分かりやすい)。

また、GDPデフレーターは、消費者物価指数や企業物価指数のように、値の増減で判断するが、両指標とは異なり、輸入品価格は含まれていない(国内製品のみである)。

・デフレ傾向時は不景気であることは多いが、デフレと不景気は同義語ではなく、デフレ下でも景気が上昇していることがある。

(参考)
「潜在GDP」を「平均GDP」へ改称すべし
需給ギャップと潜在成長率の見直しについて
平均概念で潜在GDPは測れない
平成19年度年次経済財政報告
生産関数と潜在GDP
GDPギャップと潜在成長率
GDPギャップ/潜在GDPの改定について
名目GDP vs.実質GDP
よくわかる経済指標「GDPデフレーター」
GDPとは
GDPデフレーター(支出側と生産側)の不突合と推計方法の見直しに向けて
GDPデフレーターが低下するインフレ
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GDP統計の改定結果から探る日本経済の実態
景気判断とGDP統計
四半期別GDP速報について ~その位置付け、特徴、最近の取組~
平成 27 年度国民経済計算年次推計の概要について
参考資料集

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